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箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

13/12/10

 今クールのアニメについて。10月の日記では

「WHITE ALBUM2」「蒼き鋼のアルペジオ」「キルラキル」「ゴールデンタイム」「IS 2nd Season」「魔法少女まどかマギカ(再)」「アイドルマスター(再)」

 (「革命機ヴァルヴレイヴ 2nd Season」を書き忘れ)

を観ていると書きました。当時の期待値は概ね上記の順番の通り。ヴァルヴレイヴがアルペジオとキルラキルの間に入るくらい。全11~13話中10話近くまで進み、そろそろゴールが見えてきました。京都で放送されたうち最新話まで観た現在の最終話への期待値は以下の通り。

「WHITE ALBUM2」「ゴールデンタイム」「キルラキル」「IS 2nd Season」「革命機ヴァルヴレイヴ 2nd Season」「蒼き鋼のアルペジオ―アルス・ノヴァ―」

 「WHITE ALBUM2」はトップをキープ。4番手としてスタートした「ゴールデンタイム」が健闘する中、好調な滑り出しを見せた「蒼き鋼のアルペジオ―アルス・ノヴァ―」「キルラキル」はそれぞれ最新話で失速。ゴールデンタイムは大学生の恋愛のリアリティは脇にやるとして、多田・加賀・林田の3人が織り成す魔空間には妙味がある。面白い「君のいる町」という評価。アルペジオは後ほど書くようにダメダメ。キルラキルはストーリーがダレながら映像美は相変わらずで相対的な順位は変わらず。「革命機ヴァルヴレイヴ 2nd Season」は2期に入って持ち直したかに見えたものの、最新話でヴァルヴレイヴ"らしさ"が炸裂。2期で積み上げ直した信頼感をことごとく失うことになりました。「IS 2nd Season」は持ち前の安定した肌色面積を発揮し期待通りの活躍を見せました。絶対に予想以上の面白さをみせない一方で期待を裏切らないアニメの強さを感じました。

 

 

 ここからはアニメ「蒼き鋼のアルペジオ ―アルス・ノヴァ―」が原作「蒼き鋼のアルペジオ」に比べて決定的につまらない理由を考察してみます。

  1. 物語の変数を減らしすぎた
  2. メンタルモデルが感情を持った

この2点が主な原因だと考えられます。

 1.物語の変数を減らしすぎた

 「蒼き鋼のアルペジオ」は本来は海洋を舞台とした軍事と政治をメインテーマにした漫画でした。千早群像の「蒼の艦隊」に加えて、千早群像の父親である千早翔像の「緋色の艦隊」、日本海軍、陸軍、霧の艦隊(キリシマ・ハルナ班、コンゴウ班、ヤマト班etc.)といった多彩な陣営がそれぞれの思惑を巡らせながら手を結び或いは殺し合う、政治を描こうとする意図の強い漫画です。これがアニメでは一転して、蒼の艦隊と霧の艦隊(コンゴウ班、400シリーズ)との対決に焦点が絞られました。他の陣営は画面に登場しない、もしくは吸収されています。霧の艦隊の陣営の大きな変化としてはキリシマ・ハルナが蒼の艦隊に加わったことやコンゴウより上の組織が描かれないことが挙げられます。また、アドミラリティコードが物語に関わってこないことも特筆すべきでしょうか。

 未知なる存在の「霧の艦隊」を巡る複雑な関係の中で、敢えて積極的に霧の艦隊とコンタクトを取る千早群像は極めて異質な存在でした。原作及びアニメでの彼のコミュニケーション能力はタカオ・ヒュウガの接収、キリシマ・ハルナの造反を呼び起こすなど霧の艦隊に対して絶大な影響を与えました。しかし彼のその能力は本来は霧の艦隊にだけに影響を及ぼすものではないのです。原作では彼は上記の霧の艦隊にとどまらず、日本海軍が霧と手を結ぼうとするきっかけになったりヤマトとタカオの接触を生んだり、極めて広範なものでした。アニメでは蒼の艦隊と霧の艦隊の二項対立に単純化してしまったので彼のインパクトがまったく損なわれてしまいました。駆け引きを失ったことが原作の奥深さを台無しにしました。

 

2.メンタルモデルが感情を持った

 メンタルモデルは感情を獲得し得る(≠必ず感情を獲得する)存在として描かれています。原作でもタカオが千早群像に恋心を抱いたりハルナが蒔絵と友情を芽生えさせたりしています。一方でイオナは頑なに無愛想なままでコンゴウが千早群像に拘泥することもありません。彼女らに感情を見出すことは困難です。また、他の霧の艦隊もアドミラリティコードの解釈で争うことはあっても感情を原因に争うことはありません。しかしながらアニメではイオナが早々に千早群像に恋慕するなど感情を露わにしています。これが原因となってアニメではイオナの「私は兵器だから」という言葉が否定される命題へと反転するのです。

 メンタルモデルと人間が異なる存在ながら同じ目的のために手を組む原作のまさに呉越同舟というべき機微が、アニメではただの感情で色分けされた大雑把な陣営の大雑把な対決になってしまいました。人間とは異なる存在であるメンタルモデルとのコミュニケーションを描くためにメンタルモデルに人間と共通の感情を獲得させてはいけないのです。それでは非人間の知性体を出した意味が完全にスポイルされるのです。目的が不明*1で感情を持たない恐るべき知性体だったはずの霧の艦隊が、人間と同じ精神構造を持ってしまうことはその恐怖の根源を失うことに他なりません。絶対に避けなければいけませんでした。

 

 アニメでのメンタルモデルの描かれ方には酷く失望しました。

*1:霧の艦隊の目的であるアドミラリティコードへの服従とその追究は人間側には明らかでない