箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

the Interface-Tracking ENGINE

Interface

interface ˈɪntɚˌfeɪs

(名) 中間面, 界面;境界面;共通領域;インターフェース

Interface Tracking

 界面追跡法 (Interface Tracking Method) とは界面を表す要素を変形させることにより界面挙動を解析する手法である。液体と気体の混合した流体、すなわち混相流の解析に界面捕獲法と並んで使用されている。

the Interface-Tracking ENGINE

  唐突なお話にお付き合い願いたい。

 お話の登場人物に界面は存在するのか。お話の登場人物の界面とは何か。私は二次創作を行う際に『お話の登場人物の界面』についてよく頭を悩ませている。お話の登場人物とは、畢竟は単なるテキストである。もしくはテキスト及びイラストそれから音声の集合体。あなたは、そして私は、なぜ文字列に感情を揺り動かされるのだろうか。あるいは、二次創作で発生した文字列をどうして本物のテキスト群と見間違えることができるのか。この際前者は忘れておこう。私は文学者でもなければ心理学者でもない。ただの二次創作者だ。

 テキストを読んであなたの中に発生した登場人物のイメージ像aは他の文字列を食んでイメージ像a'となり踊り出す、歌い出す、駆動する。彼らは既にaとはかたちを変えている。しかしながら、あなたは彼らa'を元のaだと自然に思い込むことができる。然らば。私は考える。aとa'を区別してやる必要はなかろう。続いてこう考える。a'を用いてaを拡張してやることができるだろう。ではどうやって。

 ここで『お話の登場人物の界面』を思い出す。お話の登場人物には多くの設定が与えられている。本が好き。本を読むのが好き。本を語るのが好き。本を読むこと語ることが好きなことが好き。おはぎが好き。ペン回しが好き。エトセトラ。

 設定とは界面を表す情動関数の初期条件であり同時に境界条件である。設定を満たす限りでは情動関数の変数を好きに置いてやっていいですよ、それが設定の意味するところだ。ならば、と私は再び考える。変数を片っ端から当てはめてやるのだ。本を読むのが好きなら語るのが好きなら、変数「本」の部分に実在する本を入れてみればいい。なんなら実在しなくても構わない。おはぎが好き。結構。どんなおはぎが好きだ。おはぎを作ったことがあるか、そうでないか。作ったことがない、そう、それならちょっといっしょに作ってみようか。ペン回しが好き。どうして好きなの。どうして好きになったの。なるほど、メモを取る癖があった。じゃあメモを取るようになったのはどうして?

 界面の情動関数に変数を組み込み続ける試み、実行する機関。

 the Interface-Tracking ENGINE。

 私のサークル名の由来である。