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箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

15/10/12 つぎの○○○につづく (七尾と小説と同人)

『七尾百合子と小説二次創作の相性が良い』

 日夜回す七尾と小説サーチタブにはよくこんな感想が入ってくる。小説二次創作を書いている身からするとそれなりに正しく思えるが、私は彼女以外の二次創作を書いていないので比較はできない。彼女の好きな小説ネタを埋め込むのに小説媒体は適しているのだろうが、テクニックの問題であろう、漫画でも同様だろうか。漫画は描けないからわからない。どちらにせよ、それなりに正しいだろう。あるいは

『七尾百合子の二次創作は小説が多いね』

 こうなると私は首を傾げてしまう。私の把握している限りでは、彼女単独の二次創作小説を同人誌形態で頒布したサークルは2つしかない*1。pixiv小説になると、これは完全に誤りで、北沢志保の方が多い。もっとも彼女に関して言えばそもそもの母数が多いから、ファンアート全体に占める小説の割合は変わるのかもしれないが*22ちゃんねるに投稿されたものは知らない。私の興味の埒外だから。

 単に弊サークルの本がそれともpixiv小説が目立っているだけで数が水増しされているように見えるというのがもっともらしい。ちなみに近日頒布される七尾百合子小説アンソロジーであるが、私を含めた小説寄稿者6人のうち5人は私か、私に「お前、小説書けたよな?」と引きずり込まれた人間で、こうなると水増しというかリクルーティングの成果だろう。

 

 さて、エイヤっと書き始めて1年と半年でいっぱしの小説同人作家となってしまったのだが、実は小説よりは漫画で二次創作を描きたかった。だって、そうだろう? 小説なんて読むのに時間が掛かるし、ページも嵩むし、それよりなにより、浸透しない。twitterを見てごらん。日夜ファンアートイラストが生産され、回覧され、浸透している。ある時には丁寧に描き込まれたフルカラーのイラストで、またある時はワンシーンを切り取った漫画で、それとも別の時には走り書きで。しかし、どんなかたちであれ、小説を書いてはpixivに投げ同人誌を出しtwitterで知らせている身としては、小説より見られているという体感がある。考察よりはまだマシだろうけれど。あれは議論を引き起こすかもしれないが、読者になにかを残すことは稀だ。反応を見る限りでは既に持っている認知を強化するだけに思われる。

 ミームの貫徹力とでも呼ぼうか。

 イラストや漫画の方が小説よりソーシャルネットワークでは強い。*3

 だから私は本当は漫画を描きたかった。

 けれど、小説しか書けなかった。私が彼女を書きたい/描きたいと願ったときに、お絵描きの能力をのんびりと涵養するだけの猶予はなかった。しかし小説なら書くことができた。毎日のように、というか毎日、twitterで何らかの文字列を打っていたし、その前はmixiでblogでとにかく何かを書いていたから、小説なら書けると思うことが出来た。

 したがって私の目標は、漫画やイラストに匹敵するだけの貫徹力を持った小説を書くことと定まった。

 実際、小説そのものは書くことができたし、執筆活動は楽しかった、とても楽しい。

 紙面で彼女らが自由に踊る姿は喜びそのものである。

 小説と呼ぶにはお粗末な小咄*4を月2本程度のペースで書き始めたのが2014年の4月、やがてみるみる書けるようになり、ほとんど面白半分でというかより強い貫徹力を求めて同人誌を出すことになったのが同年7月、スタートから1クールで同人誌を決めたの阿呆なのではと思わないでもないがいつの間にかそうなっていた、8月に院試に落ちたり9月に頒布したり繰り上がりで受かったり、9月に頒布した勢いそのままで11月のイベントに申し込んだり。そこからは卒論があったからペースが落ち込んだりしたが、高山の誕生日の12月と七尾の誕生日の3月にはそれなりにまとまった文量を書いたりした。年度が変わって2015年の4月には3冊目の同人誌。ここらで同人誌を配ることそのものの楽しさに気付く*5。単に書いてweb媒体に投稿するだけのそれより面白いことに、つまり、納期を決めて、スケールを決めて、イラストをお願いして、小説を書いて、納入して、頒布する、イベント一連の手続き自体にも楽しさがあることに気付いた。

 そして9月に4冊目を出した。こちらは自分でもようやくちょっとだけ感心できるような文量とそれに見合った物語を有しているように思えた。ありがたい感想もちょいちょいと頂けている。作者冥利に尽きる。10月には小説アンソロジー。実は企画は4冊目より先に立っていた*6が、それはそれとして5冊目である。

 最初の1本から1年と半年、ようやく感触を掴むことができた。貫徹力を有した小説を書くことができたと思えるようになった。

 6冊目、7冊目と続けたい。

 6冊目はネタを温めている。

 7冊目は彼女の名前に因んだものにしたい。

 しかし、私は学生であり、私には学生生活があり、つまり私には就職活動や研究があり、使える時間はみるみる少なくなっていく。既にpixivに投げなくなってから久しく経っており、自分自身でも危機感を抱いている*7。周囲には研究と同人活動を高い水準で維持している同人作家が二人いて、私は氏らを尊敬している。

 あと何冊、あと何本書けるのだろう。

 書き終えて、ああ、書いてて良かったな、そう思える瞬間をあとなんど迎えられるのだろう。

 もっと書きたい。

*1:弊サークルと近未来工房

*2:面倒くさいから私は調べない。勝手にやってくれ。やったら教えてくれ。

*3:ここでの「強い」とは「多くの人に見られ、結果、より多くのインプレッションを発生させる」くらいの意味。

*4:最初は彼女が本について喋るラジオ番組という極めて単純な舞台設定と同じく単純なテーマだった。とある同人作家に「お前のそれは小説ではない」などと有り難いお言葉を頂いたが、お前の小説論なんて知るかとっととくたばっちまえと思っている。

*5:11月のイベントは私事で参加できなかったのだ。

*6:次回の後書きで書きたい

*7:カジュアルに読める場所に置いておくことはミームを播種させるのにもっとも大切なことのひとつだ。