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箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

161230 『幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦』雑感

 『幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦』を観ました。 

幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦 [Blu-ray]
 

 忘れないために書きます。今年の誕生日にMValdegamas侯爵殿より恵投いただいた品でした。ももクロちゃんが原作・平田オリザ、監督・本広克行で高校演劇部の全国出場を目指す映画『幕が上がる』に出演しました。本作『その前に。』は『幕が上がる』の舞台裏を撮影したドキュメンタリー。アイドル小説の参考にと思って。

 以下鑑賞中のtwitter実況からの引用

 序盤のワークショップで登場し感情なき演技指導マシーンとして雰囲気をさらった平田オリザと、撮影パートで優しい声を掛ける気のいい親戚のおっちゃん然とした本広克行コントラストが非常に強く、図らずも両者の格の違いが露わになっている。  

 撮影前のWSで辣腕を振るう平田氏と、撮影中ににこやかにももクロちゃんと相談する本広氏の対比。残酷なまでだった。

平田オリザ、シャツで眼鏡を拭きながら演技指導したりする(アニメキャラか?)

 めっちゃコワだった。WSの内容自体は同氏の『演劇入門』『演技と演出』で書かれた通り。キャッチボールをしたあとにボールを投げずにエア・キャッチボールで身体の動きの違いを確かめてみる、演技に徐々に負荷を掛ける(最初は台詞を読むだけ、歩きながら、向こうから来る人に挨拶を返す、立ちあがる人に反応する、など)ことで自然な動きを身に付ける、俳優が俳優に対して演出・演技指導を行ってみる、など。

演劇入門 (講談社現代新書)

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演技と演出 (講談社現代新書)

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  演劇を扱うなら読んでおくと助かると思う。少なくとも『ガラスの仮面』みたいな古風な熱血漫画なやつを参考にするよりはもっともらしくなる。

 以下、同じくtwitterからの引用。

正しくドキュメンタリー映像作品といった印象だった。ももクロちゃんのみなさんの舞台裏の努力や監督、女優からの薫陶。あるいは作中に出演する高校演劇部員との(同じ立場での)交流。舞台裏をまさしく舞台裏たらしめる要素が揃っていた。

 とくに高校演劇部員とのそれは素晴らしかったですね。また、アイドルの二次創作をする人間から観ると、ももクロちゃんの周囲を巨大な日傘を掲げながら衛星のように動き回るマネージャーさん?や常に扇子を扇ぐメイクさんなど、アイドルとその周囲の人々のリアルな映像が非常に参考になった。

ドキュメンタリーと言えど映像作品として世に出される以上、物語に昇華するためのある種の嘘が含まれているのだけれど、むしろその分だけ本物の動きが際立っている。

ももクロちゃんは流石にふつうの高校生と交じるとやっぱりオーラがあり、と同時に彼女らは共演者の(なんとかって賞を獲った)女優を「オーラがある」と評していた。一方で共演者の(ふつうの)俳優には私から見ても雰囲気はなく、そういった存在感の差異が作り出す現場の雰囲気は面白いと思った。

存在感の差異、スタッフや出演者ほか現場に携わる全ての人間を含めたオーラの差異、は自分も小説で書けるようになりたいですね。

  演技指導の部分はけっこう短め、ほとんどは撮影シーン。

 演技派らしい女優および作中で高校演劇部員を演じる現役高校演劇部員との交流が印象的。女優としては駆け出しのももクロちゃんと女優、アイドルとしてはトップのももクロちゃんと普通の女子高生。対比が効いていた。こういう構造は小説でも扱いたい。同じ俳優・女優でも、演技派らしい女優のひとと普通の俳優のひとではオーラが違ったり(そのおかげか俳優のひととの交流はなんだか優しい社会科教師と女学生のそれみたいだった)。かなりシビアなオーラの違いがあった。

 そしてカメラに映り込むキャストではない、ふつうのスタッフさん。彼らが彼らの職務をまっとうすることでドキュメンタリーがドキュメンタリーとしての真実味を帯びていました。彼らはオーラのない俳優や現役高校演劇部員と比べても、まったくふつうの人々。ももクロちゃんに日傘を差してあげたり、扇で扇いであげたり。彼らが演じずに一生懸命にお仕事してくれるおかげでドキュメンタリー性が担保されてるんですよね。

 撮影の現場では、キャストとスタッフの間には当然オーラの違いがあり、キャストの間にも違いがある。その差異を非常に強く意識させられる映像作品でした。人間関係のドラマはその差異に発生すると私は信じているので、自分で小説を書くならこの辺を梃子にするかなーなんて考えながら観てました。

 アイドル小説を書く参考にするなら観ておくと間違いなく質感を増加させてくれる映像作品だったと思います。