箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

アイドルを描くために死ぬほど『役に立つ』資料5選

突然ですが、『役に立つ種本って、どんな本だと思いますか?

ツイッターでクソみたいにバズるのは、いつも辞書的な本です。項目がいっぱいあって写真も絵もいっぱいで専門用語や物の名称がわかって……欲張りさん向けの本ですね。

あれはウソ。インスピレーションを刺激してくれません。百科事典でも読んでろ。

本当に役に立つのは「■■■■」のある本です。

 

では、どんな本なら『役に立つ種本になるのでしょうか?

どんな種本があればインスピレーションが湧き出てアイデア帳はいっぱいになり筆が止まらなくなり素晴らしい創作が出来上がるのでしょうか?

私はこの1年間にわたり、アイドルマスターの二次創作小説を連載し、このたび完結しました。アイマスジャンルに限って言えば、5年間ずっと小説を書いてきました。

ずっとインスピレーションの源となる種本を求めてきました。多くの本、雑誌、インタビュー集、参考書、ムック、カタログ……いっぱい読んできました。

ここで紹介する本は全て私が読んだ本です。

その中でも特にアイドルを描くために死ぬほど役立つ5冊と、

せっかくなので『役に立つ』種本の探し方を紹介していきます。

 

目次

1. 衣装

2. ダンス

3. 演技

4. 音楽

5. ライブ

6. まとめ

7. おまけ(調べなかった分野)

8. 最後に

9. 追記

 

1. 衣装

これから 5冊(正確には19冊)ご紹介しますが、アイドルで創作するならこのシリーズだけは絶対に抑えてほしい。

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~ (TJMOOK)

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~ (TJMOOK)

 

AKBの方は絶版になってしまいましたがシリーズ化され『SKE48 衣装図鑑 全力制服』も出ています。

SKE48 衣装図鑑 全力制服 (TJMOOK)

SKE48 衣装図鑑 全力制服 (TJMOOK)

 

AKB48 衣装図鑑』はこのようなページが続きます。

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恋するフォーチュンクッキー」MV衣装 p.109

写真は衣装のフロント、バック、小道具や早着替え用のバリエーションまで掲載されています。

しかしながら、私が本書を紹介する理由は、写真が豊富だからではありません

写真はググれば出てきます。鮮明な映像があれば様々な角度から見られます。

生地や構造の名称もすこし調べればわかることです。そもそも『名称』なんてアクセントに過ぎません。

本書では、その衣装の生地や柄、構造がどうして選ばれたのか、採用の理由や歴史が記されています。端的に、ストーリー*1があります。 

たとえば「恋するフォーチュンクッキー」の項目から引いてみます。

(「恋するフォーチュンクッキー」MV衣装について)

デザインの段階で、赤、黄色といった派手な色に、青と白を入れて落ち着かせることを考えていたという茅野氏。

フォーチュンクッキーが三角形なので、衣装のフォルムも三角形で構成しています」

「秋元さんからのイメージは(中略)赤や黄色といった派手な色を使いました。ただ、(中略)構成するにあたって白や青を入れて落ち着かせることを考えました」

AKB48 衣装図鑑』p.109

秋元プロデューサーのイメージしていた『派手な』衣装(=明るい音楽)は、衣装さんの手によって落ち着いた色が加えられ、より洗練されました。

これらから、衣装がイメージから完成品になるまでのストーリーや、あるいはその裁量まで想像することができます。

また、なによりアイドルの衣装は歌って踊るための衣装ですから、衣装の解説からダンスの解説へと繋がりやすいこともポイントです。

(「桜の木になろう」MV衣装について)

曲調に合わせてダンスも控えめなため、シックになりすぎないようジャケットはバイアスチェック、スカートは縦生地のチェック柄にして布の動きを表現した。

AKB48 衣装図鑑』p.72

単なる色や柄が「衣装を落ち着かせるため」の色や「ダンスに動きを与えるため」の柄であると読み解けるようになれば、あなたも描く際にも同じだけのストーリーを込められるようになります。

 

さて、気の利いた小道具を用意したいなら『ワンハンドレッド~きれいな女性が持っているおしゃれアイテム100』は外れないでしょう。この量で『着こなし』へのストーリー的なアプローチは強度があります。

ポケット版 ワンハンドレッド ~きれいな女性が持っているおしゃれアイテム100

ポケット版 ワンハンドレッド ~きれいな女性が持っているおしゃれアイテム100

 

 

私服はなぜか部屋にいっぱいある女性ファッション誌を参照しましたが、女性ファッション誌とアイドル雑誌の中間地点にある『OVERTURE』は、とくに読みやすく種本ビリティが高い雑誌です。

OVERTURE No.017: タウンムック (Town Mook)

OVERTURE No.017: タウンムック (Town Mook)

 

 

2. ダンス

ダンス(=アクション)を小説にすることは難しいと言われています。小説を書いたことがある方なら、体感的にわかることでしょう。静的なメディアで動的なアクションを表現することはアンマッチです。

しかし、アイドルを描く上でダンスを避けて通ることはできません。

困難は分割しましょう。1曲5分もあるダンスを通して描くことが困難なら、振付の単位まで分解してしまいましょう。

そこで役に立つのが『IDOL DANCE!!!』(竹中夏海)です。 

IDOL DANCE!!!: 歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい

IDOL DANCE!!!: 歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい

 

振り付けによる「歌詞カードの向こう側」

歌詞と振付がリンクするだけではなく、歌詞カード以上の物語を“振付によって広げる”ことも可能となるのです。

『IDOL DANCE』Kindle版ロケーション1879の197より

物語を振付によって広げる』とは、振付の意義を端的に示しています。

振付師・竹中夏海氏(@tknkntm)はアイドルのダンスを中心に手掛けており、本書に書かれた「アイドルに振付で物語を広げてもらう」ための試行錯誤は、想像力を刺激します。

ところで、振付師は振付を考える役割であり、実際に踊るのはアイドル(やダンサー)です。本書では、竹中氏が手掛けていたアイドルグループ「PASSO☆」のメンバーからのインタビューもあり、「振付師から見たアイドルダンス」のみならず「アイドルから見たアイドルダンス」までカバーされています。

まとめてみると、お子様ランチ並の親切さだとわかります。

・振付で物語を広げること

・著者の竹中氏がアイドルの振付師であること

・アイドルダンスの解説・ストーリーが豊富であること

・竹中氏が手掛けるアイドルグループのメンバーのインタビューまで含まれること

竹中氏は現在はnoteにて「平成が終わる前にアイドルダンスを振り返るプロジェクト」を連載中です。私は愛読しています。

巨人の肩の上に立つ」です。当事者や専門家のストーリーに間借りしましょう。

 

アイドルを担当した振付師には竹中氏のほか、MIKIKO氏(それこそPerfume)や振付稼業air:man(ユニットのため敬称略。AKB48など)、上野隆博氏(欅坂46)が挙げられます。

ポップミュージックと振付については『月刊MdN 2015年9月号(特集:振り付け☆愛 時間と空間のビジュアル革命)』は詳しいでしょう。振付師自身による解説に富み、様々なダンスをMVを参照しながら読み解かせてくれます。また、アイドルルネッサンスの練習レポートは練習風景の参考になるでしょう。アイドルがダンスレッスンではどんなノートをつけるのか興味ありませんか?

 

もしもダンスの未経験者なら『振付稼業air:manの踊る教科書』(振付稼業air:man)は『教科書』を銘打つだけあり(東京書籍から出版された本書は実際にダンスの教科書として採用されています)とても読みやすい構成をとっています。ダンスに自信がないなら読むといいでしょう。

振付稼業air:manの踊る教科書

振付稼業air:manの踊る教科書

 

 

3. 演技

演技に関する本はものすごくいっぱいあります。一口に『演技』と言っても教科書的な本からごく私的な体験をまとめたエッセイまで、俳優、女優、演出家、脚本家、声優、評論家その他諸々によって書かれた類書が死ぬほどあり、種本探しの大前提をなしにしては情報の海に溺れます。

ここで種本の大前提を思い出しましょう。

演技のためではなく、演技の描写のために読むのです。

数ある演技本で『役に立つ』と感じたのは『ワークショップ』にページの割かれている本です。

ワークショップで演技について教えるためには、肉体的な経験をいちど言語化を通じて一般化・体系化する必要があります。よって、ワークショップにページの割かれた本は(演技の経験に乏しい)読者にも読み解きやすく言語化されていると考えられます。

もしもワークショップの成功・失敗などが書かれていたらそれはもう「ワークショップに参加したのと同じ」くらいのストーリーを得られるでしょう。

 

私の一推しは平田オリザ氏の『演技と演出』です。

演技と演出 (講談社現代新書)

演技と演出 (講談社現代新書)

 

平田氏の演劇本が優れているのは、劇団を長年運営しているために演技に関する言語化能力が極めて高い点にあります。ある種のステマチックささえ感じさせます。

演劇を親しみやすい文化として広めるために書かれた本書は、まったくの初心者でも読める本になっています。平田氏の偉大な(毀誉褒貶ありますが私はそう思います)点は、演劇に関する文脈を持たない読者に向けて言語化を行っている点でしょう。

要するに、ずぶの素人でも読んでわかった気になれます

本書は演技に関するワークショップの実践、平田氏の考える「優れた演技」の定義から、脚本の書き方台詞の作り方まで、平田氏の演劇のエッセンスの詰まった一冊です。

エッセンスが詰まりながらも実践を第一とした書きぶりは平田氏自身のストーリーに溢れ、説得力があります。

演技と演出』は別エントリを立てても解説し切れないほどのノウハウが詰まっているので、こんなエントリを読んでないで、いいから読んでほしい。2時間もあれば読めます

ついでに『演劇入門』も併読するとかなり立体的に『演技』について描けるでしょう。

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

 

当事者や専門家があまりに多い場合「誰がストーリーを言語化し慣れているのか」考えてみましょう。

 

さて、演劇の実作は現場で観るのがベストと言われています。

居住地や時間のせいで難しいこともありましょう。

しかし、演劇動画配信サービス「観劇三昧なら月々たったの980円で録画された演劇を見放題です。

平田オリザ主催の劇団「青年団」の『日本文学盛衰史』を貼っておきます。

(明治時代の日本文学の勃興を描く高橋源一郎の同名小説をもとに舞台化した本作は死ぬほど面白いです。あくまで明治を興りとしながらも現代にも通じるアクチュアルな脚本が光ります)

実作を通しで観ると、著作に記されたノウハウが注ぎ込まれていることが本当によくわかります。 (冒頭3分のためほとんどなにも起きません)

 

ワークショップの体験談で言えば『からだと心の対話術』(近藤良平)はシリーズ「14歳の世渡り術」の通り、とても平易に書かれています。「やってみよう」と語りかける書きぶりが好ましいものです。

からだと心の対話術 (14歳の世渡り術)

からだと心の対話術 (14歳の世渡り術)

 

 

4. 音楽

音楽を小説にすることはダンスより困難でした

音楽活動をしたことがないせいで経験に乏しいこと、音楽の授業を忘れたせいで知識も欠けていることの2点が大きく足を引っ張りました。

ダンスは視覚的に描出できましたが、音楽を描くには力量が足りませんでした。

困難は整理しましょう。小説に必要なのは楽譜や演奏ではなくストーリーです。

私は職業としての『音楽』に着目しました。

メロディがひらめくとき』(黒田隆憲)は若手を中心とした音楽家16人からのインタビュー集です。

メロディがひらめくとき アーティスト16人に訊く作曲に必要なこと

メロディがひらめくとき アーティスト16人に訊く作曲に必要なこと

 

インタビュー集とは、生のストーリーの集合体です。

タイトルには『作曲』とありますが、『作詞』『編曲』『流通』まで取り扱っています。16人いればそれだけ多様な切り口を得られます。数は力です。

職業としてのアーティストからの観点は非常に示唆に富みます。

さて、本書はインタビュアーが質問し、アーティストが回答し、インタビュアーが重ね、という非常に一般的な形式を採用しています。

音楽に関する知見が「無」の人間にとっては、インタビュアーの質問から役に立ちます。

なぜなら、良い質問とは背景に多くのストーリーを持つものだからです。

1冊に16人を収めるためには、インタビューの濃度を高めねばなりません。濃縮されたインタビューとは良い質問が大前提です。

アーティストの回答もまた、生い立ちから話す人物もあれば「金のため」と切って捨てる者もおり、多種多様です。繰り返しになりますが数は力です。拾えそうなストーリーを拾いましょう。

知りたい分野について全く詳しくないなら、ストーリーの切り口を変えてみましょう。

そのためには数は力です。「どうしたら効率よくストーリーを得られるか」考えてみましょう。

 

インタビューならば、たとえばオンラインでele-kingのインタビューをザッピングしても同様の効能を得られます。

また、音楽をなんもわからんで書くのは流石にしんどかったので『親子で学ぶ音楽図鑑』を愛用していました。写しんとえがいっぱいあったからわかりやすかったからうれしかったです。

親子で学ぶ音楽図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド

親子で学ぶ音楽図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド

 

 

本で足りなければ経験者に頼ることも欠かせません。

私は音楽の現場での疑問については相当の部分をソロバンドマンである友人Aに質問していました。この場を借りて御礼を申し上げます。

 

5. ライブ

はっきり書きます。

「アイドルのライブ」ズバリの種本は見つかりませんでした。しかし、私は絶対の自信を持ってお勧めできる1冊があります。

ストーリーが見つからないなら切り口を変える」ことを考えてみましょう。

ライブをするためには、ライブ会場が必要でしょう。原っぱで歌うだけでは物足りないでしょうから。ということは「アイドルのライブ」について考えるとは「ライブの環境」について考えることに他なりません。

だったら、せっかくなら『おれの考えた最強の劇場』を作りましょう。

劇場を作るためには、照明や音響、美術など様々なテクニカルなサポートが必要です。

ご安心ください。

たった1冊で世界の見え方が変わります

 

足で探した1冊なので本当は皆さんにはお教えしたくありません。

どうかこのツイートをRTしてあげてから読み進めてください。

たったボタンひとつでここだけでしか得られない情報があなたのものになります。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

最強はこの本です。

SPT 10

SPT 10

 

SPT 10 特集 劇場技術の世界 ――"創造する劇場"の舞台裏』(野村萬斎)は劇場の技術を支える方々の本物のストーリーが詰まっています。

劇場のスタッフから見た劇場という観点で本書はピカイチです。

SPTとは、野村萬斎が芸術監督を務める公共劇場「世田谷パブリックシアター」の略称であり、そこでは現代演劇や古典芸能の現代アレンジなど意欲的な試みが行われています。

『SPT 10』は、劇場の照明、音響、舞台機構、衣装……とテクニカルな話題に尽きません。SPTが「開場から劇場の技術スタッフの声が採り入れられていた劇場」である、という点に着目して読んでいただきたいと思います。

また「野村萬斎が芸術監督を務める劇場スタッフのインタビュー」と読み替えると、このストーリーの厚みがわかるでしょう。そこから劇場のスタッフから見た理想的な役者や、役者が求める理想的な劇場を読み解くことだって難しくありません。

本書といくつか辞書的な図書があれば、あなたも劇場を作れます

 

さて、劇場を作ったならライブを演出しましょう。

コンサートライティング入門』(加藤憲治)はタイトルの通り、コンサートのライティングに特化した照明の入門書です。

コンサートライティング入門 (舞台技術入門新シリーズ)

コンサートライティング入門 (舞台技術入門新シリーズ)

 

とにかく照明についてよくまとまっており、一覧性が高く(ロックバンドが念頭に置かれているものの)実例に富みます。ついでのように掲載されている特効(特殊効果)はアイドルのライブを描く上で役立つこと間違いなしです。

私の小説のライブシーンのライティングはほとんどこの1冊に依っています。

 

現場で役立つ舞台関係用語集 ステージ・PA・照明用語事典』は辞書的な使い方に留まりますが、薄いので通読できます。 辞書の通読は三島由紀夫広辞苑を通読したことから明らかなように、創作者の基礎体力を鍛えます。

現場で役立つ舞台関係用語集 ステージ・PA・照明用語事典 舞台人必携!

現場で役立つ舞台関係用語集 ステージ・PA・照明用語事典 舞台人必携!

 

 

6. まとめ

以上、アイドル創作に死ぬほど捗る種本5選でした。

最初の質問を思い出してください。

役に立つ種本」って、どんな本だと思いますか?

みなさんおわかりですね。

本当に役に立つのは「ストーリー」のある本です。

この原則はどんな種本を探すときにも適用できます。

あなただけの、秘密の種本を探してみてくださいね。

 

7. おまけ(調べなかった分野)

メジャーアイドルのアイドル小説を志しましたが、以下の分野は積極的な種本探しを実施しませんでした。

 

・メジャーアイドルのファン向けの商業活動

私が欅坂46のおたくだったので実体験をもとに膨らませました。

特に握手会の体験は日向坂46(旧・けやき坂46)の影山優佳様にお世話になりました。ありがとうございました。

これと言った種本よりむしろ、冠番組アイドル雑誌を追った方が役に立つでしょう。

 

・テレビ業界と映画業界のしくみ

テレビ業界と映画業界を小説で使う予定がなかったので調べませんでした。

映画に出演するシーンや映像を撮影するシーンはありましたが、それらは別途で資料を用意しました。

 『映画表現の教科書』(ジェニファー・ヴァン・シル)は映画での画作りの基本や効果が実例とともに紹介されており、映画をあまり観ない私にはセオリーを学ぶ良い教材となりました。

映画表現の教科書  ─名シーンに学ぶ決定的テクニック100

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  • 作者: ジェニファー・ヴァン・シル,吉田俊太郎
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2012/06/23
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 4回
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創作のなかで映像を用いるなら『MdN 2018年12月号(特集:この曲はなぜこのアプローチで撮ったのか?映像監督8人に聞いたMV43曲)』と『MdN 2019年2月号(特集:ポップカルチャーはなぜ彼らの映像を必要とするのか? クリエイティブカンパニー「コエ」の仕事)』には目を通して損はないでしょう。

 

・芸能事務所のしくみ

芸能事務所の規模及び業界によってしくみが大きく異なることに加え、小説に使う予定がなかったので積極的に調べませんでした。

ゼロからでも始められるアイドル運営』(大坪ケムタ、田家大知)は地下ドルなら役に立つかもしれません。

 

8. 最後に

そもそも創作をするために専門家になる必要はありません

大切なのは「それらしさ」を描けるようになることです。

換言すれば「役に立つ」資料とは「それらしさ」を演出できる資料です。

百科事典的な種本が役に立たないのはまさにその理由からです。百科事典や図鑑を紐解けば詳しくなるかもしれません。もしかしてなるでしょう。しかし残念ながら、創作物の説得力が宿るのは専門性ではないようです。「それらしさ」が説得力の源です。しかも、クソみたいにバズる本は、百科事典や図鑑のせいぜい焼き直しです。それに初学者向けの本一冊で身に付く専門性らしさなんてたかがしれています。はっきり書きますが、フィルムアート社の本を最初の1冊にするのをやめろ。基本的にアメリカで出版された著作物のため、文化コードが離れているほか、教則に寄りすぎて「種本」に用いるためのストーリーに欠けるきらいがあります。

貪欲に「それらしさ」を追い求めましょう。私の知人はドラゴンとの戦いを描くためにモンスターハンターの動画を漁り(あなたがドラゴンとの戦い方を学ぶなら伝説の勇者は強すぎるでしょう)、また別の知人は銃火器の扱いを覚えるためにFPSをプレイしていました(リロードの手間はカタログから伝わるでしょうか?)。ちなみにアイドルの小説を書くためにアイドルのゲームをするのはたぶん間違いです。「それらしさ」はあちこちに転がっています。

「それらしさ」ってどこに宿るんでしょうか?という問いが、本エントリの背後にあるテーマでした。

もう明らかでしょう。

「役に立つ」資料=「それらしさ」を演出できる資料=「ストーリー」を持つ資料です。

ストーリーある資料を探して、よい創作をやっていきましょう!

 

9. 追記

これは『七尾さんたちのこと』の参考文献の一部です。

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*1:そもそも「ストーリー」ってなに?って疑問があるかと思いますが、ここでの議論は割愛させてください。私は「感情の時系列のある流れ」くらいのニュアンスで使っています。