箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

190612 小説を配ってきました。(『七尾さんたちのこと』跋文)

その物語を書きたいわけではない。

それは計画ではない。

むしろ、そういう小説を何年も前に書いていて、

それを今読めたらよかったのにと思うのだ。

『盆栽』(アレハンドロ・サンブラ) より

 去る6月9日に横浜産賀ホールマリネリアにて 『七尾さんたちのこと』を配ってきました。イベント ISF07 は大盛況で、弊サークルInterface-Tracking ENGINEにも多くの方々にお越し頂きました。御礼を申し上げます。

さて、いよいよ終わってしまいましたね。

2018年の年明けから書き始め、2019年の3月に連載版の完結、5月に書籍版の完成、6月に頒布となり、足かけ1年半の事業でした。読者のみなさま、ご協力くださったみなさま、ここまでありがとうございました。

イベント帰りはびっくりするくらい、満ち足りていて、同人小説書きの仲間と横浜中華街で打ち上げたり、行きつけだった喫茶に行こうとして閉まっていたり、帰りの東海道新幹線で書籍版を読みながらぼろぼろ泣いてしまったりしまいました。

終わっちゃったね。

作者本人が一番びっくりしています。

イベントの翌る月曜は、満足は半分になって、もう残りの半分はさびしさでした。だってこれだけで1年半、ビジョンから言えば5年近く抱いていましたからね。虚脱っていうとちょっとズレるつもりなんだけど、もしかしたら、そういう感情なのかもしれない。

さて、冒頭の引用は『盆栽』より。

盆栽/木々の私生活 (EXLIBRIS)

盆栽/木々の私生活 (EXLIBRIS)

 

弊サークルが2015年9月に頒布した『雪のゆりかご』 って同人誌のあとがきでまったく同じ文章を引用していました。

今回の本は、そういう本です。

今はまだ書いたことや、書かれたことを覚えているけれど、いずれ忘れてしまう。むしろ、早く忘れてしまいたいとすら願っています。

なぜなら、細部も大筋も忘れ「そういえばあの子らどんな子だったんだっけな」ってふとした瞬間に思い出したいから。思い出すためには、いっかい忘れなければならない。

今回の本は、そういうときに読むための本です。

もう一度、彼女らと出会い直したいと、いまの私は思っています。

 

今回のイベントでは『the pillows × アイドルマスターミリオンライブ!小説アンソロジー』にも参加させて頂いて、1本「LITTLE BUSTERS」で書かせてもらいました。

3月末に書いて、時系列的には【冬】を発表した直後に、一気呵成に書き上げました。書くべきことはあったし、たぶんそれは当時の私にしか書けないことだったから、けっこうがんばったつもりです。副主催に「あの話が出た後で『らしく』て良かった(大意)」ってお言葉を頂きまして、救われた気持ちになれました。

さて、私は the pillows を『惑星のさみだれ』から知ったクチで、「バビロン天使の詩」、「ブルースドライブモンスター」、「ビスケットハンマー」あたりには特に思い入れがあります。アンソロの表紙イラストが『Thank you, my twilight』のジャケットをパロったものだって知ったときの、衝撃といったらなかったですね。

Thank you,my twilight

Thank you,my twilight

 

惑星のさみだれ』の最終決戦のあとの、さみだれ、いたじゃないですか。

いまの私は、限りなく彼女のアレですね。

私が彼女たちについて知っていること、考えたこと、願ったこと、全部出し切っちゃって、もう燃えカスです。もうなんも書くべきことは残っていません。

本当にありがとうございました。

しばらくは委託があるから宣伝をさせてもらうし、9月には大阪で開かれる即売会には出るつもりだけど、それ以外のことはもうなんもわからん。

 

でも、最後にこれだけは書き残させて。

本当に楽しかった。

満足しました。

成仏できるよ。

 

とりあえずいまは『七尾さんたちのこと』委託してますんで、よろしくお願いします。