箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

1年かけてアイマス小説書いたから紹介する

1年間かけて『七尾さんたちのこと』という小説を書きました。

七尾百合子たちが主人公青春アイドル群像小説です。

1年間かけてpixivにて連載しており、このたび、同人誌即売会にて書籍版を頒布する運びとなりました。

本書は文庫サイズで360ページと大ボリュームです。

読了にはおおよそ3時間から4時間程度掛かるでしょう。

ボリュームだけで敬遠される方もいるかもしません。

しかしながら、私は一人でも多くの皆さんに『七尾さんたちのこと』を読んで頂きたいと考えています。

そのため『七尾さんたちのこと』がどのような小説なのか、3時間の小説を3分で紹介します。

ネタバレは一切ありません。

 

 

 目次

1. あらすじ

2. どんな小説なのか

3. もっと詳しく

4. 最後に

 

1. あらすじ

『七尾さんたちのこと』は七尾百合子が、高山紗代子北沢志保と出会い、萩原雪歩と交わした『約束』を果たす物語です。

春夏秋冬からなる全四部構成で、それぞれのあらすじは次の通りです。

第一部【春】: 七尾百合子と高山紗代子北沢志保出会いと最初のライブ、そして萩原雪歩との『約束』

第二部【夏】: 七尾百合子の献身と、高山紗代子がセンターのライブ、北沢志保が主演の舞台

第三部【秋】: 七尾百合子と北沢志保対決と、聖ミリオン女学園、センターを巡る『選挙』

第四部【冬】: 『約束』の行方とは、そして――

765プロからはさらに、萩原雪歩福田のり子野々原茜二階堂千鶴が出演します。 

シアターの外の人物には、たとえば関西弁のラジオパーソナリティの兄ちゃんや、老獪な演出家、爽やかなドルオタお姉さん等が登場し、アイドルたちを支えます。

 『七尾さんたちのこと』とは、一言で言えば「青春アイドル群像小説」です。

 

2. なぜ書かれたのか

『七尾さんたちのこと』は、七尾百合子・高山紗代子北沢志保の3人をメインとした「青春アイドル群像小説」を目指して書かれました。

「青春アイドル群像小説」とは、次の三つのジャンルの複合体です。

群像小説

アイドル小説

青春小説

これら三つのどれかひとつにでもピンと来たら、このままこのエントリを読んで頂けたらと思います。そして、願わくば『七尾さんたちのこと』も読んで頂きたく本エントリを書いています。

2.1 群像小説

まず「群像小説」のために、三人についてそれぞれ以下の三つの問いを立てました。

七尾百合子は、なぜアイドルになったのか、そしてどんなアイドルになるのか。

高山紗代子は、なぜアイドルであるのか、『あの子』と結局なにがあったのか。

北沢志保は、どんなアイドルであるのか、なぜ『トップアイドル』を目指すのか。

これら3つの問いの答えを、出会い、活動していくなかで探してもらいました。

これらの問いは、それぞれ一見して似ているようで、微妙に異なるニュアンスを帯びています。

重なりながらも異なるグラデーションを持つ3つの問い。

それらの手がかりは、似ている問いを持つ者となら探し出せるかもしれません。

一人では見つけられない答えも、三人、それ以上ならば見つけ出せます。

2.2 アイドル小説

「アイドル小説」において、彼女たちの人間関係は、765プロに留まりません。

世界はさらに芸能界へと、さらにその外へと果てしなく続きます。

『七尾さんたちのこと』は、広がりのある世界を持つ物語です。

2.3 青春小説

そして「青春」とは、限りのあること、終わりのあることです。

そのため『七尾さんたちのこと』ではそれぞれの部には季節が冠されています。

限りある季節に、イノチを燃やす物語をご覧下さい。

2.4 青春アイドル群像小説

『七尾さんたちのこと』とは、アイドルたちが、広い世界で、限りある時間のなかで、問いを立て、探し、手を取り、競い、切磋琢磨し、問いに答える物語です。

アイドルマスターの世界での、そんな青春アイドル群像小説を、私が読みたかったので書きました。

同じ気持ちを抱く皆さんに『七尾さんたちのこと』を読んで頂けたいと願っています。

 

3. もっと詳しく

ここまで来たらば『七尾さんたちのこと』本編を読んで頂きたく思っています。

しかし、もっと詳しく知ってから判断したい皆さんもいらっしゃるでしょう。

ここでは「アイドルたちについて」「アイドル活動について」「小説的な技法について」の三つを簡単に説明します。

3.1 アイドルたちについて

アイドルマスターミリオンライブでは、765プロは自前でシアターを建設するほどの大手芸能事務所です。

したがって、アイドルたちは、多くの候補者のなかから選ばれた人物です。

なぜ選ばれたのでしょうか?

アイドルたちは、遙かな夢を抱き、自ら行動を起こしたから、だと私は信じています。

ミリマスの多くの設定と反しますが、これは私の信念です。

そのため『七尾さんたちのこと』に登場するアイドルたちは、それぞれが目標を有してオーディションを受け、合格し、そのゴールに辿り着こうとしています。

たとえば、七尾百合子は、萩原雪歩に憧れてアイドルを目指します。

たとえば、高山紗代子は、『あの子』との過去や、将来なりたい自分があります。

たとえば、北沢志保は、トップアイドルを宣言しますが、理由は隠しています。

3人は、それぞれの目標のために、手を取り、時には争います。

これら目標の達成は『七尾さんたちのこと』の根幹です。

しかし、3人だけの世界はあまりに小さすぎます。

七尾百合子は、福田のり子に励まされたり、野々原茜に茶々を入れられたり、二階堂千鶴と姉妹を演じたりします。

福田のり子は、中学3年生の七尾百合子が初めて出会うタイプのお姉さんです。図書館と学校との往復だけでは思いもつかなかった、そんな世界を見せてくれるかもしれません。

野々原茜は、根っからのエンターテイナーです。彼女の気質から多くの刺激を受け、アイドルであることの意味を考えるきっかけを得るかもしれません。

二階堂千鶴は、高貴でありながら多面性を有する人物です。その高貴さに魅了されるかもしれませんし、その多面性には人間の洞察に関する重要なヒントが隠されているかもしれません。

萩原雪歩。もはや「ちんちくりん」ではありえません。七尾百合子にとっては、偉大なる目標であり、仰ぎ見るべき遙か彼方のトップアイドルです。

そして、アイドル活動は、事務所のアイドルだけで成り立つものではありません。

陰の主役はアイドルではない人物たちです。

ライブにはライブのスタッフがいて、ラジオではパーソナリティと喋り、舞台は舞台の専門家が作り、握手会にはファンが来ます。彼らとの出会いこそが、アイドルである意味であるとすら私は考えています。

彼女たちと彼らの全員によって、大きな物語、巨大なタペストリーが織り上げられます。

なぜならば『七尾さんたちのこと』は、一人では辿り着けない場所を目指す群像小説だからです。

3.2 アイドル活動について

『七尾さんたちのこと』はアイドル小説です。

したがって、アイドルたちは様々なアイドル活動を行います。

たとえば、ライブはシアターのみならず、より大きな会場で開かれます。

歌って、踊って、『七尾さんたちのこと』では季節ごとにライブが開かれます。ライブを大成功させるためには数え切れない準備が必要でしょう。そして、ライブにはセンターがいます。センターを巡る争いも重大な事件です。ステージの上に立つ瞬間にしか見えない景色だって、きっとあるはずです。

あるいはたとえば、ラジオ番組に出演することもあります。

生放送のラジオ番組では、トークに加えてとっさの判断力が試されます。リアルタイムだからこそのアクシデントもあるかもしれません。

あるいはたとえば、舞台に立って演じます。

優れた役者には、高い感受性や、人間を観察する目が必要でしょう。果たして、それらを手にできるのでしょうか?

あるいはたとえば、握手会にも参加します。

765プロは大手の芸能事務所ですから、握手会も開かれるでしょう。単に手を握って終わりでしょうか? 人間に対する洞察を掴むチャンスかもしれません。

あるいはたとえば、『選挙』も。

アイドルたちは、なにを賭けて争い、どうやって勝利を目指し、その末になにを手に入れるのでしょうか? あるいは、なにを失うのでしょうか?

『七尾さんたちのこと』では、アイドル活動を通して、アイドルたちが目標に手を伸ばします。

なぜならば『七尾さんたちのこと』は、アイドル「であること」を追究するアイドル小説だからです。

3.3 小説的な技法について

『七尾さんたちのこと』には、大小さまざまな「しかけ」が設けられています。

小さい「しかけ」は、たとえば次の段落や次のページで明かされるものです。アイドルたちの心理や行動について、仄めかすかもしれませんし、ただちに答え合わせをできるでしょう。

大きな「しかけ」は、『七尾さんたちのこと』の最後に辿り着くその瞬間まで息を潜めています。もしかしてカンの良い方はピンと来るかもしれません。

数え切れない「しかけ」とその答え合わせとが、うねりを呼び、うねりのダイナミズムが『七尾さんたちのこと』を支えています。

「しかけ」によるダイナミズムは、かけがえのない青春の一瞬を、一瞬たらしめ、あるいは永遠の思い出を刻みます。

『青春』には無意味さは存在しません。

あるいは一見無意味に見えることこそが『青春』です。

そして『七尾さんたちのこと』には、無意味に置かれたパラグラフは存在しません。

なぜならば『七尾さんたちのこと』は、一瞬を描く青春小説だからです。

 

4. 最後に

『七尾さんたちのこと』は、青春アイドル群像小説です。

アイドルマスターミリオンライブにおいて、空前絶後の小説です。

作者である私は、胸を張って『七尾さんたちのこと』は最高の小説であると宣言します。

ひとりでも多くの皆さんに読まれることを願っています。

『七尾さんたちのこと』をよろしくお願い致します。