箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

13/10/16

 『BEATLESS』を読み終えました。3/4で8時間近くかかったのでかなりの大作でした。Kindle本では紙媒体のページ数からするような直感的な時間の逆算ができないのが怖い。

 レイシア(お姉ちゃんモード)かわいいとか紅霞いじらしいとかそういうことばかり感じていた気がする。*1

 長谷氏は『あなたのための物語』ではヒトの最後のヒトらしさを"肉体"と定義し、肉体の束縛から逃れられない人々の物語を展開した。裏を返せば、ヒトらしさを物語の主軸に置いたことで人間が主人公であり続ける世界を描いてみせた。『BEATLESS』は一転してヒトと機械が紡ぐ”ボーイ・ミーツ・ガール”*2であり、その信頼関係の解として"かたち"が提示された。"肉体"も人間の"かたち"の部分集合である以上は、2つの作品は同じ"かたち"というテーマを違う切り口でやはり違う未来像を提示したのだろう。

 私はと言えば、機械と共生する未来が待ち遠しい。ヒトに拒まれ続けた*3非モテの怨嗟のせいであり、それ以上に、ドラえもんメダロットで育ったバックグラウンドのおかげだろうか。そうだといいな。

 ここからは余談。ところで、リョウはアナログハックを機械への不信から忌避する代表者として描かれていたけれど、私には彼の切実さがほとんど理解できなかった。彼は機械がヒトを誘導する未来を頑なに拒んでいたが、私には不完全なヒトが不完全なヒトを誘導する現在の方がよほどディストピアに思える。本来はヒトを信頼しないはずの彼が機械の導く未来を拒絶するのはヒトへの信頼の裏返しにみえて興味深い。こういった事例は現実にもたくさん転がっているだろうし、探してみると楽しそう。

 

 どんな未来が待ち受けるにせよ、レイシア(お姉ちゃんモード)にハックされたい、ということでひとつ。

 

P.S.

 『円環少女』も3巻で止まっているので早く読みたい。

*1:これこそ"アナログハック"の効用なんだろうけど

*2:作中なんども繰り返されるように

*3:ケンゴ・紅霞ペアにに共感を覚えたのは彼らと同じく持たざる者だったからだろう