箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

14/01/26 劇場版アイドルマスター 輝きの向こう側へ!

 昨夜はアイマスを観てきました。何度も観たいと思わせてくれる映画でした。以下ネタバレを含んだ感想。

 

1.ライブシーン

 今作の目標だった765プロアリーナライブ。開演の瞬間のステージの薄幕から透けるシルエットがライトアップと共に色を帯びる様には思わず落涙。広い舞台を縦横無尽に駆け回るアイドルにただただ感動していました。アリーナの形状を知らなかったのですが非常に広い上に客席に食い込むかたちで花道もステージの一部となっていたんですね。劇場の大きなスクリーンが駆け巡るアイドルでいっぱいになる様は圧倒的でした。ライブシーンは「M@STERPIECE」の1曲だけとボリュームから言えば全然足りなかったはずなのにその1曲だけで満足。アイドルマスターの映像作品にしては珍しく(劇場版だけでは)ステージでマイクを握っていたのもリアリティを増してライブへの没入感が高まりました。まるで本当にアリーナで応援しているかのような、そんな錯覚がありました。ほんとうによかった 。

 

2.『私は天海春香だから!』

 この台詞はアイドルマスターを象徴する台詞でした。765プロの仲の良さは団結を生む一方で、961プロ悪徳記者や今回では北沢志保など765プロの外から常にその意味を問い直されてきました。果たして765プロは単なる仲良しクラブなのか、それは全くの誤りなのですが*1、その団結は外部から疑念の目に晒されています。今作でも練習に参加しない矢吹可奈に対して「可奈ちゃんはアイドルを諦められないと信じる」と宣言した天海春香が「甘い」と糾弾されました。また、アニメ「アイドルマスター」に対しても彼女らが見つめているのは彼女ら自身であってファンではない、従って彼女らにはファンが不在であるという指摘もありました。アニメの画面にはファンが登場することは少なかったのは事実ですし、彼女らの課題はいつでも彼女らの内面にありました。私はファンが不在だったとは決して思いませんが、ある意味では一理ある指摘でしょう。

 今作ではそれら全ての疑問を『私は天海春香だから!』で吹き飛ばしました。天海春香が他のアイドルの手を取るのは彼女が天海春香というアイドルだからです。ひとを信じられるアイドルだからです。人を信じることができるアイドルはまた、ファンにも信じられるのです。彼女のファンだった矢吹可奈は彼女に憧れてアイドルを目指しました。これ以上のファンの描き方はないでしょう。アイドルがファンを産み、ファンもまたアイドルに生まれ変わる。この関係はそもそも天海春香がアイドルになったきっかけでした。劇場版アイドルマスターでこのテーマがもう一度繰り返されたことはPROJECT IM@Sが提示したアイドル像が天海春香に結像されたことに他なりません。故に、リーダーに選ばれた天海春香の『私は天海春香だから!』が到達点として説得力を持つのでした。

*1:今作でも水瀬伊織星井美希は互いがライバルであると断言している