練習問題② ジョゼ・サラマーゴのつもりで
一段落から一ページ（300から700文字）で、句読点のない語りを執筆すること。
オリジナルです。
聞き飽きるほど聴いた俺たちのアンセムは Jamiroquai の Canned Heat で四拍子をスピーカーが駅前広場に響かせると平日真昼の通行人たちは俺たちコンビに露骨に不審げな視線を向けてちょっと遠巻きになるがそれもそうだろう工事用の真っ赤なカラーコーンを二人で計六本具体的には右手に二本左手に一本ずつ握って向かい合う二人は工事現場から飛び出してきた恰好ではなくこのビジネス街のサラリーマンを模したフォーマルな恰好のクセしてああそうだよ真っさらで端正な鎌倉シャツが大好きなのに両手の円錐体は歴戦の現場でぶつけられ落とされデコボコに凹んだ古兵みたいに見えるからいやこのダメージ加工ってわざわざ殴る蹴るして相当な手間だったんだけどその甲斐あってＵＫエレクトロニックサウンドとホワイトカラーのコスプレとブルーカラーのカラーコーンとの三つが不調和極まりなくてそうさ不調和で耳目を集めるのが俺たちのやり口ってわけだから街への異物感が最高潮に高まったところで何気なくヒョイッと赤のオブジェクトを二人でパスし合ってジャグリングして街のアテンションをマテリアルにしてアーチを架けるいわばイメージのケンチクカってワケなのさ。（501文字）
敢えて句読点を打つならこういう感じ↓
聞き飽きるほど聴いた俺たちのアンセムは Jamiroquai の Canned Heat で、四拍子をスピーカーが駅前広場に響かせると平日真昼の通行人たちは俺たちコンビに露骨に不審げな視線を向けてちょっと遠巻きになるが、それもそうだろう。
工事用の真っ赤なカラーコーンを二人で計六本。具体的には右手に二本左手に一本ずつ握って向かい合う二人は、工事現場から飛び出してきた恰好ではなくこのビジネス街のサラリーマンを模したフォーマルな恰好のクセして――ああそうだよ真っさらで端正な鎌倉シャツが大好きなのに、両手の円錐体は歴戦の現場でぶつけられ落とされデコボコに凹んだ古兵みたいに見えるから――いやこのダメージ加工ってわざわざ殴る蹴るして相当な手間だったんだけど、その甲斐あってＵＫエレクトロニックサウンドとホワイトカラーのコスプレとブルーカラーのカラーコーンとの三つが不調和極まりなくて――そうさ不調和で耳目を集めるのが俺たちのやり口ってわけだから、街への異物感が最高潮に高まったところで何気なくヒョイッと赤のオブジェクトを二人でパスし合ってジャグリングして街のアテンションをマテリアルにしてアーチを架けるいわばイメージのケンチクカってワケなのさ。
