箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

230122 「ときメモ2」合成音声の特許は本当にあったのか、調べてみました。

ときメモ2」合成音声(EVS: Emotional Voice System、以下、EVS)の特許は本当にあったのか、調べてみました。

結論

ありました。特定しました(特許3361291)。

前書き

合成音声についての tweet を見て(そういえば、特定されてるのは見たことないな......)と思ったので調べてみました。

調べ方

1. 特許検索サイト(J-platpat)で、著者所属に「コナミ」、特許請求の範囲(権利範囲)に「音声」、全文に「合成」を指定し、ときメモ2が開発されていたと推測される1990年1月1日から発売日である1999年11月28日までで出願日を区切り、特許を検索した。

2. それらしい発明(以下、発明1発明2発明3。なお、発明3のみが特許として登録査定を受け、発明1および発明2は拒絶査定を受けている)が特定された。

3. 共通する発明者「笠井治」についてGoogle検索をしたところ、ときメモ2のスタッフロールに名前があるとの記事およびときメモ3にスタッフとしてEVSに関わっている記事が発見されたので方向性の正しさが確信された。

4. 上記の発明3について深掘りをしたところ、登録されてから15年間(つまり、長期間。2017年10月18日まで)維持されていたことがわかった。大切っぽい。

5. 特許検索サイトで改めて発明者「笠井治」について調べてみると、合成音声に関する発明1~発明3に先立って発明0が発見された(下図に一部を引用)。発明0は、恋愛シミュレーションゲームに関する特許であると明細書(発明の説明)に記載。笠井治氏が恋愛シミュレーションゲームの合成音声に関して長らく開発に携わっていたことが、特許の面からも確認された。

発明0の説明には「恋愛シミュレーションゲーム」とバッチリ記載

→Happy End...

おまけ1

笠井治氏は、音声合成方法に加えて、下図のように音声編集装置でも特許を出している。このような幅広い特許の取り方が「音声合成をやるだけでコナミの特許を踏む」って都市伝説を増幅させるに至ったんだろうとも思われる。(他社牽制効果が大きい)

笠井治氏の発明の一覧(一部)

おまけ2

同じ時期(1998年2月27日出願)に、パワプロ関連の特許でも合成音声の発明が発見された。なお、発明者は上記の笠井治氏ではない。当時のコナミでは合成音声に関する研究開発が複数のチームで行われていたことが窺われた。

おまけ3

音声合成といえば、『ハヤテのごとく!』のキャラソンCDには、そのキャラ(ぼくはマリアさんが好きでした)が名前を読み上げ続けるパートがあったのに、名前が「しんたろう」的な複雑な名前だったからリストになくて、無念のあまり「しんいち」「たろう」から合成して読み上げて貰った逸話がある。