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箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

14/05/28 アイドルマスター ワンフォーオール感想他

 「アイドルマスター ワンフォーオール」を一通りプレイしましたので感想エントリをアップします。具体的なゲームの内容に踏み込んだネタバレがあります。

 

 最高でした。情報が出てから半年間、今か今かと待ち続けてパンパンに膨らんだ期待にしっかり応える作品でした。据え置きコンシューマゲームとしてはこれが3作目、アーケードの稼働から今までにアニメや映画、数多のコミックスなど私たちはアイマスコンテンツに触れ続けてきました。その過程の中でプロデューサー各々の信じるアイドルマスター像には違いが生まれて、私たちそれぞれの信念に差違が生じるのと呼応して公式が提示するアイドルマスター像も移ろいできました。今作では、それら変化してきたアイドルマスターを全て肯定しようとする意志が見られます。

 アイドルマスター ワンフォーオールではこれからの物語が紡がれます。彼女たちの文脈は私たちの裡にあります。象徴的なのは『はじめまして』という言葉がないことでしょう。プレイヤーはアイドルと顔なじみの研修生から昇格したプロデューサーとしてゲームを始めます。プレイヤーは彼女たちを知っています。性格や好き嫌い、クセ、パーソナルな情報から、別の世界でトップアイドルになるまでに経た挫折と成功。これまでの全てを知っています。そんなプレイヤーは『初めまして』という言葉を望むでしょうか。その言葉は共に歩んできたプレイヤーと彼女たちには相応しくありません。では、そんな私たちが歩むべき物語とはいったいどんな物語でしょうか。それは「これから」の物語です。これからを語ることで、翻って、過去の文脈は現在に回収されます。

 如月千早の話をしましょう。私が今作のリーダーとして選んだアイドルです。アイドルマスター2nd VISIONでは彼女のアイデンティティは常に彼女の過去にありました。アイドルマスター2およびアニメでの彼女は破局した家族とセットでした。アイドルマスター2では開始時に両親が別れ、心労から声を失い、家族を赦すことで声を取り戻す、そんな筋書きでした。アニメでも同じで違いは声を取り戻すきっかけがプロデューサーとユニットの仲間か事務所のみんなか、それだけです。筆者は今作でも同じように過去との確執が描かれるのではと不安に思っていました。正直なところ、如月千早の暗鬱な過去にはもう飽き飽きしていたのです。そして何より恐れていたのは、彼女の人生を左右する重大な事件さえ醒めた目で受け取ってしまうことでした。プレイヤーとしての私は彼女のプロデューサーであり、正しくプロデューサーとしてあるならば作中世界に没入して問題に取り組まねばなりません。それを冷淡に作業としてこなしてしまうのではないか。そんな恐れがありました。

 不安は杞憂でした。今作では如月千早は過去との確執なしに歌と向き合います。現在の自分が歌う理由、これからも歌い続ける理由、前向きな話が続きます。如月千早のプロデューサーをしていて心からよかった、そう思えるゲームでした。輝く時間をありがとう。

 

(ここまで5/17付けの下書きで保存されていた)

 

 初稿を書いて10日、プレイからは2週間近くが経った今でも、ワンフォーオールを楽しむことができている。ひとつの目標だった「みきちはデュオでの玲音の撃破」を終えて、そして衣装の獲得率100%を達成した。ゲームとして為すべきことはほとんど為してしまった。それでも折に触れてあの世界が私の裡に根付いていることを感じる。いま私は、とても幸福だ。

 

 別件。ミリオンライブ!のアップデートがありました。百合子のいるユニットがフィーチャーされています。とても葛藤しています。GREEに登録してミリオンライブ!を始め、百合子のドラマを享受することは、手順としてはとても簡単です。いつだってできる。けれど、登録してしまうということはあのゲームの仕組みを肯定してしまう*1。俺はたとい七尾百合子のためであっても他のアイドルを貨幣として扱うことだけは絶対にしたくない*2。どんなに馬鹿馬鹿しく見えてもその矜恃だけは堅持しなければならないと信じている。

 結局のところは、ゲームに参加しても参加しなくても待っているのは七尾百合子に対して不実だったという結果だけだ。

*1:余談になるけれど、俺は白紙投票というものの有効性をまったく信じていなくて、何故ならば、システムとしては有効票だけが実行力を持つからだ。同じ理屈でゲームに参加することは、プレイヤーがどんな意志を持っていたとしても、ゲームの仕組みに肯定的に振る舞ったとカウントされてしまう。

*2:登録するだけして放置すればいいという声も聞こえる。一理ある。ただし私は登録したら間違いなく(これだけは確実に言える)七尾百合子を手に入れるために手を尽くすだろう。20年以上自分と付き合ってきたから知っている。私は目的のために手段を選ばない。即物的な欲求は矜恃を容易く覆す。いつだって。