箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

240301 2024年2月度月報

  1. 趣味
  2. 健康
  3. 財政
  4. 仕事

各目標の進捗状況

  1. 趣味
    1. ラノベ:約5千文字(累計1.5万文字、ペース不足)
    2. ジャズ:10枚(昨年11月から累計48枚、累計100枚に対して目標以上のペース)
  2. 健康
    1. コンビニ:日用品を買ったが、食品は買わなかった。目標継続中。
    2. ジム:16回(累計29回。年間180回ペース。年間200回に対してペース不足)
  3. 財政
    1. コンビニ:同上。
    2. 本屋:1回だけ行った。さらに3月1日に行ったが、3月はサイン会のイベントを除いて戒めとしてもう行かないこととする。次に行くのは5月。
  4. 仕事
    1. 外注マニュアル:PJ凍結中。
    2. 中国語:中国語会話を開始。

3月度はラノベをもっと書いていきましょう。

本の感想

①『業界別 経営アジェンダ2024』(A.T. カーニー)

21の業界の近年の動向をまとめ、今後を占う一冊。それぞれのストーリーにどれ程の確度があるかはともかく、業界分析レポートの作り方の参考になる。あとSF的未来予測的な読み物的面白みがある。自ジャンル(ジャンル?)は、出典とするには微妙な文献(業界にメチャ恨みがあることで有名な人物の記事)を出典としており確度はやや怪しいので、他ジャンルももしかしてそれくらいの確度かもしれませんが……。

 

②『ソニー半導体の奇跡』(斎藤端)

ソニーの「お荷物」と呼ばれていた半導体部門(CMOS部門)がどのようにして今の地位を築いたのかを描くクロニクル。経営学的なマクロな観点よりもむしろ、ミクロな人の動きに着目した一冊。いま振り返れば、ソニーが九州(菊陽町・諫早)で半導体に投資をしていたのが遠因となってTSMCが菊陽町を選ぶこととなったのだが、本書が執筆された時期には確かその話はまだなく、彼らの奮闘が巡り巡って日本が外貨を稼ぐきっかけとなってくれたのだから、先見の明があったとも言えるのかもしれない。

 

③『IoTと日本のアーキテクチャー戦略』(柴田友厚)

日本のもの作りの「すり合わせ」は幻想である……。
もの作りのためのアーキテクチャーには「モジュール」か「非モジュール」しか存在しない。複数の部品のそれぞれに固有な特性に応じて緻密に連結させて一つの製品を組み上げる(=モジュール化されていない「すり合わせ」)方法論では、市場の多様な要求に応えようとすると組合せ爆発が生じる。
一方で、製品数を減らすと市場からの要求に応えられない。このジレンマを解決するのがモジュールである。モジュール化された設計思想では、複数の部品を一つのコンポーネントとしてまとめることで部品同士の緻密な連結を減らし、それらコンポーネント同士を共通の約束で連結する方法(=インターフェース)をトータルで設計する。これにより、適切なコンポーネントを選択し共通のインターフェースで繋げることで、組合せ爆発を抑制しつつ、多様な要求にも応えることが可能となる。
モジュール化の成功者として、トヨタの自動車ラインナップの思想、IBMのコンピュータのモジュール化、欧州の高速鉄道、ダイキンの空調設備、コマツの建機が例示される。最後には、ハードウェアによるデータセンシングとデータを活用するソフトウェアのシステム(Cyber Physical System)において、API(≒インターフェース)の共通化(≒モジュール化)が必須であると紹介する。
現在の日本のもの作りに対して手厳しい意見も多いのだが、エールが通底しているように感じた。興味深く読めました。

 

④『水車小屋のネネ』(津村記久子)

面白かった!のだけれど、クライマックス直前から1ヶ月以上も間を空けて読んでしまって、ちょっと申し訳ない(が、地震が起きてすぐのときに地震が出てくる小説を読みたくなかったのだ)。人類の良心を信じているときの津村記久子で、鋭く、醒めた人間観察眼が発揮されていた。

水車小屋のネネ

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⑤『GE帝国盛衰史』(トーマス・グリタ、テッド・マン)

GE(ゼネラル・エレクトリック)が崩壊に至るまでを綿密な取材を元に描き切ったノンフィクション。崩壊の一途を辿った理由は、一言で言えば、ガバナンスの欠如だ。CEOは会社にチャレンジングな目標を命じる(前期を上回る決算、前期を上回る配当のために……)。組織ぐるみで手段を問わない業務遂行が恒常化し、(法規制に対して)「攻撃的な」会計処理が行われる。工業製品の会社であったはずのGEが、金融部門が攻撃的に生み出すキャッシュの麻薬に溺れていく。
天才的と言われた経営者ジャック・ウェルチ、その後を継いだジェフ・イメルト、彼らと共にあった幹部、取締役、そして多くの部下……。誰もがゴールに向かって、その時のベストを尽くそうとしていた。ただ、ゴールもコースも間違っていたのだ。

 

⑥『鑑識レコード倶楽部』(マグナス・ミルズ)

厳かであり、即物的でもある小説だ。男たちがレコードをパブの奥の部屋で聴くだけ。コメント、批評はなし。ただ聴くだけ。主宰が定めた厳密なルールに則って進行するはずだった会は、しかしながら、厳密過ぎるが故に……。人々は自らの信念に沿って倶楽部の活動に携わっていく。小説全体を通して、彼らのひとりひとりが、聖域とでも呼べるような不可侵な領域を持っていることが描写される。その意味で、非常に厳かだ。そして即物的でもある。この小説に比喩はない。レコードの音楽の感想にも比喩はない。人々の精神活動は動詞によって表現される。
ありふれた話にも思えるし、決してありえない話にも思える。小説冒頭で、その瞬間にとあるレコードを聴いているのは自分たちだけだと評するシーンがあるのだが、本作を象徴している。誰にも開かれている話だが、どこにもない。

鑑識レコード倶楽部

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⑦『ロジカル・プレゼンテーション』(高田貴久)

2004年に初版が発行されて2023年に27版まで数える名著。後世に「仮説思考/論点思考」と呼ばれることになる思考フレームワークを説明する。本書の特徴は、そのフレームワークに埋め込まれるファクト/示唆/仮説の説明の方法を、実際の「提案」の技法(プレゼンテーションの技法)に昇華した点だ。この一冊で「提案」に必要な技術が揃う。「仮説=相手の疑問(知りたいこと)に答える仮の答え」と定義されるのだが、重要なのは「相手の疑問(知りたいこと)に」という前半部分だろう。
私は、仮説の立案/その検証が自己目的化することがある。折々に触れて視野を広く持ち直して「相手の疑問」に答えられているかを見つめ直したい。内容としては私には既知のことが多かったので詳細は割愛する。本書を読んだおかげで確認できたのだが、自分は新しい本からナレッジを入れるフェーズではない。ナレッジが実践に活かされているか検証するフェーズだろう。

 

⑧『よろこびの歌』(宮下奈都)

ギブ。
本作を読みながら自分の好みを改めて言語化してみると、私は基本的に人間賛歌が好きで、その中でも、ネガティブスタートでネガティブの中にポジティブを見つけ出す物語よりも、ポジティブスタートでポジティブをいったん喪い再び手に入れる物語に惹かれますね。別の観点から言えば、人は既に何らかを喪っているのだから殊更にその(物語にあらかじめ組み込まれた)喪失を強調するのではなく、持てる状態から始まって後から喪った方が輝くでしょう。本作の主人公らは、大切な何らかを喪った(あるいはそもそも手に入れ損ねた)女子高生たちで、彼女らは31歳のおじさんとは違ってそこまで達観していないので、喪失が強調されるのは共感できるものの、小説の技法の問題として、同じパターンが3回続いて流石にページをめくる手が止まりました。

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⑨『ルート350』(古川日出男)

はっきり言って、なにが起きているのか、なぜ起きているのかがぜんぜんわからなかった。どのように起きているのかは伝わった。全容を掴めないほど巨大なランドスケープのような短編集だった。

 

⑩『売りの技術は儲けの技術』(出島昇・宝徳政行)

株をやってる友人と話して刺激を受けたので、セールになっていたこともあり、投資の方法の手札を増やすために読んでみた。まず、2006年初版のため(電子版のリリースが近年で、そこで勘違いした)背景事情が古い。また個人投資家がワークさせるにはやや煩雑すぎる印象を受けた。手札を増やすよりも、今ある手札へのインサイトを深めた方がいいと思った。

 

⑪『1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術』(DUKE。)

「新高値」(1年以内に高値をつけた銘柄)という概念がある。その新高値に着目したウィリアム・オニールの経験則をさらにアップデートしたのが本書。同じく新高値を取り扱った『株の公式』(林則行)を私は教科書としていた。同書ではやや弱かった、新高値を用いて選択した銘柄に関する売りへの洞察を深めようと本書を読んだ。結論から言えば、売りのみならず買いへの洞察も深まった。
本書の柱は、以下の2つ。
・買い:
テクニカル(新高値・ボックスの上側)で銘柄を絞り込み、ファンダメンタルで傍証を得て買う。
・売り:
(利確)ボックス割れで売る。三空が出現、出来高が増大したら売る。
(損切り)あらかじめ設定した損切りラインで売る。
(例外)悪材料がでたら直ちに売る。
詳細や、その他エントリー時の注意点などは自分の目で確かめてね。

 

⑫『オニールの成長株発掘法【第4版】』(ウィリアム・J・オニール)

「新高値」の概念を人口に膾炙させたオニールの名著。過去100年以上の成長銘柄のチャートを用いて、爆発的に成長する銘柄には似たパターン(同じパターンではないことに注意)があることを例示する。本書によればエントリーの狙い目はいわゆるカップウィズハンドルに限られないのだが、本書のフォロワー(個人投資家向け)は、エントリーポイントをカップウィズハンドルに絞って紹介している。おそらく、カップウィズハンドル以外のパターンを見分けることが、チャートに精通していない初心者には難しいためだろう。
数多くのチャートが紹介されていたが、一見しただけではどんな形状か理解の及ばないものも多かった。それを拾えるようにするのが優れた投資家への近道かもしれないが、さしあたって典型的な形状だけ狙おうと思った。

オニールの成長株発掘法 【第4版】

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ジャズの感想

①『Song For My Father』(Horace Silver)

名曲揃いやんけ……。異国情緒のある表題曲、3曲目、4曲目はテーマも明確だしソロも光るおかげで聴いてて飽きず、その間に挟まる2曲目はJazz Messengersを思い起こさせる。最後の「Lonely Woman」は美しいバラード。文句なしの捨て曲なしで、名盤。☆5です。

②『The Sidewinder』(Lee Morgan)

聴きやすい! どの曲もテンポが良く、各楽器の聴き所が明確で、聴いてて気持ちが良い。特に、表題曲「The Sidewinder」のドラムがエイトビートで、私にとって親しみのあるリズムだった。

③『We Get Requests』(Oscar Peterson)

いかにも「ジャズ」という感じの曲のショーケース。どの曲もコンパクトで聞き飽きない。1曲目「Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)」はタイトルの通り、静かに幕を開けるが、自由自在な演奏が気持ちいい。最後の「Goodbye J.D.」でも自由自在だが、こちらはアップテンポなのが好対照。思うが、この一枚はトリオだが、トリオだとそれぞれの楽器の聴き所を(そう意識せずとも)追いかけやすく、カルテットだと楽器同士の相互作用を楽しめて、クインテットだと細部よりはダイナミズムを浴びる印象だ。もっと幅広く注意深く聴くともっと高い解像度で聞けるんだろうが。

④『Night Train』(Oscar Peterson)

映画『オスカー・ピーターソン』を観るに当たって聴いた一枚。このアルバムはとにかく「Hymn To Freedom」に尽きますね。公民権運動のために作られた曲。非常に厳粛な気持ちになる。そういう背景を知って聴くとなおそうだが、知らずともこの曲で勝負できるほどの名曲。また、「C Jam Blues」がブルースと名付けられていながらアップテンポで、こういう種類のブルースもあるのかと発見だった。

⑤『A Love Supreme』(John Coltrane)

「聞きやすさ」(メロディーの明確さなのかな?)から良い意味で離れてフリーな演奏を感じた。

⑥『Bye Bye Blackbird』(Keith Jarrett)

これはとにかく表題曲で1曲目の「Bye Bye Blackbird」と最後の「Blackbird, Bye Bye」に尽きますね。キース・ジャレットが亡きマイルス・デイヴィスに捧げた1枚なのだが、マイルスも演奏していたスタンダードナンバーを切なく物悲しく贈る。ヘビロテしています。

⑦『Mosaic』(Art Blakey)

しみじみと感じるんですが、私アート・ブレイキーが好きですね。特にこの表題曲「Mosaic」はすべての楽器が畳み掛けてくる。ホーンセクションが華やかだと思ったら3管とのこと。どの楽器がどんな演奏をしてもドラムのアート・ブレイキーがそれを支えたりするし、ソロでぜんぜん負けない。3管つかいながらもドラムのソロが相当に長く手数も豊富でリーダーシップがある。楽しいアルバムです。

⑧『Black Radio』(Robert Grasper)

演奏が上手すぎる。ドラムが複雑なビートを刻み、グラスパーのピアノを始めとして他の楽器が絡みにいく。これで打ち込み一切ナシなのが意味わからん。個別に好きなのは「Why Do We Try」と「Black Radio」。前者は前述の巧さが特に光る。後者は「楽器としての声」がリードしていて凄みがある。

⑨『Maiden Voyage』(Harbie Hancock)

各曲ともタイトルの通りの印象(「Maiden Voyage」なら穏やかで未来を感じさせる感じ、「The Eye Of The Hurricane」なら緊張感のある感じ……)を与え、非常にコンセプチュアルな一枚だった。「新主流派」とのことで、この時代に達すると、むしろフュージョン寄りのジャズも掘りたくなってきた。

⑩『Black Radio 2』(Robert Grasper)

まだ良さをフルで掴めてない感じがする。「I Stand Alone」のリズムとメロディが好き。

昨年11月から1冊目の教科書としていた『ジャズ超名盤研究』(小川隆夫)も残り3枚となった。達成の日は近い。

ジャズ超名盤研究

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モダン・ジャズから一気に年代が飛んでRobert Grasperは『Jazz The New Chapter』(柳樂光隆)より。同書に紹介のアルバムを他にも味見しているが、鑑賞までは至っていない。

 

映画

『オスカー・ピーターソン』(バリー・アヴリッチ)

ダバダバ泣いてしまった。ドキュメンタリー映画でありながら、ジャズのコンサートのような体験。余計な言葉よりは、実際に観て聴いて味わって頂きたいです。いいタイミングで観ることができました。