箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

210704 『七尾さんたちのこと』を再読した。

タイトルでオチちゃったな。

『七尾さんたちのこと』を再読しました。3年以上前に書いて、2年前に頒布して、最後に通読したのは1年半は前かな。

なんか、普通に期待通りに面白くて、良かったです。感想にもなっとらんな。

面白かったので値下げしました。

 

 今回は(も?)【夏】のライブ前後のシークエンスが好きでした。ライブでグッとアガっていく様、そこから熱に浮かされたような七尾と北沢の告白へと至るのはあの小説で屈指の出来だと思う。ご感想を読む限りだと【春】のラジオが一番人気みたいですが。(俺も好きだよ)

ただ、前回よりも【秋】のライブから【冬】冒頭にかけて感情の起伏が繋がっていくところの気持ちよさがあった気がする。外見的なテンションがライブで上げられながらも、内面的なテンションはじっくりと下がっていく――そこから【冬】のピンチポイントで一気に爆発する。よく練ってたね。

登場人物的には、七尾百合子、高山紗代子および北沢志保の3人がメインを張り、脇を野々原茜および福田のり子が固める布陣のアイマス小説なんですが、今回は野々原ちゃんと福田ちゃんのキャラがよかったね~。

野々原ちゃんは、基本的にコメディリリーフでありながらも【秋】ではがっつりメインをやってくれてました。作者も彼女のことを大切に思ってたのがよく感じられて、選挙できちんと勝たせてあげたのえらかったね。出るべきところで出て、勝つべきところで勝ち、そして譲るところよかったね~。普通に読んでりゃ譲るのがわかるように出来てるシーンなのだけれど、今回通読して、「普通に読んでりゃわかる」だけキャラクターを描けていたのがわかった。

福田ちゃんが【冬】で大活躍するの、あれ良かったねえ。高山・北沢が抜けたところで福田ちゃんがスルッと一仕事しちゃうのを書いた作者は冴え渡ってた。ところで【秋】の初戦を落とした七尾たちと焼き肉を一緒に食ってるだけのシーンなんかも、別に特別な何かをするわけではないのだけれど、人間って特別な何かをするためだけに生まれてきたわけではないので、一緒にいるだけで力をもらったりすることってあるよねって、そういう原初の良さがありました。

総じて、「作者(3年ほど前の俺のことです)は人間のこと、大好きだな~~~」って思わせてくれる小説でした。今はそこまで人間のこと好きでもないので、当時の自分に感動した。

いい小説、書いておいてよかった~~~