箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

230819 映画『アイドルマスターミリオンライブ! 第1幕』(監督:綿田慎也)観ました。

公開初日の8月18日に観てきました。映画『アイドルマスターミリオンライブ! 第1幕』(以下、ミリアニ)。

このブログは私のブログなので、ネタバレ込みで書きたいことをマジで書きます。

そういうノリの記事であることをあらかじめご了承下さい。

【GOOD】

私の応援している七尾百合子ちゃんがよく登場して、映画『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』(以下、映画アニマス)を経た彼女にしかできない役回りを演じていました。その点では非常に満足を感じさせてくれる映画でした。

映画アニマスでは先輩に憧れる見習いバックダンサーだった彼女は、ミリアニではオーディションの第一期合格生となっていました。ミリアニでは、そんな彼女は、他の子よりもちょっぴりだけ「先輩」としての頼りがいを演出しようと奮闘していました。正直、グッときましたね。私の知っている(そして、書いてきた)七尾百合子という人物は、基本的に「できない」をいっぱい抱えている人物なんですよね。にもかかわらず、努力をできる人物。妄想、というか、そうありたいと信じた自分のイメージに少しでも近づけるように励む人物。そういう人物としての側面が端的によく描かれていました。

具体的には、後輩として765プロに入所した春日未来ちゃんらの先輩として、七尾ちゃんはダンスレッスンを一緒に受けるんですね。天才肌の春日ちゃん、伊吹翼ちゃん、そして訓練を続けてきた最上静香ちゃんと比較して、七尾ちゃんは普通の子なので、レッスン後には猛烈にヘバってるんですよね。「できない」を抱えている。けれども、彼女にしかできない、彼女にしか見えなかったやり方で、春日ちゃんら後輩にアイドルとしてのビジョンを提供してみせる。実際に見せるまでには徳川まつりちゃんのさりげない手助けがあったとは言え、イメージを膨らませることに長けた彼女にしかできないやり方でした。

そういう人物として七尾百合子ちゃんが描かれていて、私が信じて、書いてきた彼女の人物像は決して間違っていなかったんだな、と心底嬉しくなりました。

また、他の子にも注目してみると、北沢志保ちゃん。彼女もまた映画アニマスでバックダンサーとして出演し、第一期合格生としてちょっぴり現実を知っている人物。いいところで「時間があるのか」と素朴な気持ち(それは、観客の気持ちでもある)を吐露した姿は、やはり、映画アニマスで見せてくれた姿そのままでした。でも、言い方の棘がない。そういうところで少しだけ成長を感じさせてくれました。

野々原茜ちゃんはとにかく引っかき回してくれて味わいがありましたね。高山紗代子ちゃんはイイカンジに垢抜けてなくて臆病で「そうだよなあ、彼女のファーストインプレッションってこうだったよなあ」と初心に返る気持ちでした。

総じて、少なくとも私は、少なくとも「ファン向けのキャラクターアニメ」としては、期待通りかそれ以上のものを見せてもらったなあと思います。

【BAD】

わざわざ「ファン向けのキャラクターアニメ」としてはって限定した意味なんですよね。

正直な話をしていい?

一本の映画(または、四本の連作アニメ)として観たときには、相当ツラい時間が続きました。全てのシチュエーションが台詞と演出でクドクドと説明され、トラブルが起きたら雨が降り、解決したら虹が架かるんですよね。観客をバカにしてるのかとすら感じました。

説明過多なシチュエーションに対して、キャラクターの説明は(春日ちゃん、最上ちゃんおよび伊吹ちゃん)を除いて、「みんな知ってるでしょ?」ってテイで省かれる。すごくアンバランスでしたね。

例えば、私が徳川ちゃんのファンだったら髪を掻き毟りながら苦しんでいた気がします。白馬の模型に跨がって登場し「大臣が作ってくれた」と奇異な行動、奇異な言動で登場した彼女。でも、七尾ちゃんや後輩が困ったところでは大人らしくサッと助けを出してみせる。確かにそういう人物ではあると私も思う(彼女のキャラクター自体はぜんぜん間違ってない)んですが、彼女を知らない人に見せるつもりなら、その間を繋ぐ説明、あるいはアクションが必要じゃありませんか? 観客の事前知識に胡座かいてませんか? そう感じました。

あと、企業体として見たときの765プロの歪さ。社長がいて、チーフプロデューサーがいて、新人プロデューサーがいて、事務員が二人いて、アイドルを管理する大人はその四人だけ。カメラマンもいますかね? あとは五十人とかのアイドル。確かに、閑古鳥が鳴いていた頃からアリーナでライブを開けるようになるまでの、成り上がりの765プロならそれで良かったと思うんですよね。でも、ミリアニでは、もう765プロって全国ツアーもできる人気、規模じゃないんですか?

次なる一手、目玉プロジェクトを新人さん一人に任せていいんでしたっけ? しかも、頼りの社長も先輩もふんわり精神論しか言ってくれない。一方で部下は暴走する。調べ物には成人アイドルの助けを求める。三十歳過ぎのサラリーマンとなったいま、そういうストーリーをじっと見つめてみると世界の終わりのような職場だなと心の底からつらくなりました。

大手として横綱相撲を取る765プロ、規模が大きい事務所だからこそ描けるストーリーを待ち望んでいたので、そのところ非常に残念でした。

【まとめ】

私って、もう「アイドルマスターミリオンライブ!」のお客さんじゃないんだなって、再確認することとなりました。キャラクターがアニメーションで動いていて楽しい!だけでは満足し切れなかった自分と向き合うこととなりました。とは言え、乗りかかった船ですから最後まで映画館で観るつもりです。