箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

231202 『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』感想 #青ブタ

映画『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』(監督:増井壮一)観ました。

ネタバレアリです。

舞台挨拶のライブビューイングつき

もうね、感想を一言で書くなら「ありがとう」です。

ストレートな「家族」の映画をモロに食らって、ボッタボタ泣きながら観ました。

この映画を観るタイミング(ライフステージ)によって、どの登場人物に感情移入するかによって、あるいは感情移入せずに神の視点から観るかによって、見え方・感じ方がぜんぜん変わってくる映画だと思ってて、正直ね、自分にここまで刺さってくれるとは信じてませんでした。ありがとう。

私は今回は初回だし、主人公だし、ということで咲太くんの視点から物語に触れていたんですが、彼に掛けられた麻衣さんからの最後の台詞――「大人になったってことよ」。あれが本当にグッときてしまって、そこから涙が止まらなかったんですよ。彼が妹・花楓の絶対的な味方であり続けたのと同様に、麻衣さん、父、そして母も彼の絶対的な味方であり続けてくれていた。それを実感して、家族というコミュニティを絶え間なく形成し、守ろうと決めたシーンだと思うんですよね。

個人的な話になるけれど、私は今年は私生活が本当にドタバタしてて、そんな中でも絶対的な味方であり続けてくれた家族に感謝してもしきれない一年で「ああ、なんか俺って全然ガキだったな……」と反省しまくってた一年でもあったんですが、そういう一年の〆に観るのに相応しい映画でした。

さて、この映画の凄かったところは、「じゃあ次は息子・咲太の視点だけじゃなくて、その交際相手の麻衣さんだったり、両親だったり、そういう視点から見てみよう」って思わせてくれるだけの物語のパワー、そして映像作品としてのパワーがあったところですね。

今作は映像として劇的なシーンがあるわけではなく、(『おでかけシスター』に続いて)ある意味では淡々とお話が進んでいきます。けれども、登場人物たちの感情が自然に発露されているように見えたんですよね。台詞はもちろん、映像ではちょっとした仕草がきちんと芝居しているんだけれど、芝居っぽすぎず、ナチュラルな動き。台詞の裏の意図、表に出てこない感情を考えさせてくれるような動きで、登場人物たちが生きてました。こんなに落ち着いた映画なのに(なので)映像で見せてくれることあるんだって。

今回の映画鑑賞では一回だしぜんぜん拾えていないニュアンスとかあるだろうし、もっと拾いたいと思ってるんで、たぶんまた二回目も映画館で観ます。で、たぶんだけど、ブルーレイも買うことになると思う。折に触れて観直したいし、きっと毎回違う感想が出てくると思う。なぜなら、きっと毎回、私と家族との関係も変わっているだろうから。

掛け値なしにいい映画でした。

ありがとう。

 

追記

咲太くんが古賀ちゃんのかけがえのなさを感じてくれているようで、おっちゃん的にはそこもとても嬉しかったです。