箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

220925 小説を書きました

 

「文豪」、憧れませんか?

私も憧れはありました。中高時代の後悔のひとつに、「文豪」の作品をきちんと読まなかったことが挙げられます。受験勉強ばっかりしてて、文学への素養を身につける意識がありませんでした。自意識の成長の糧になっただろうに、残念です。

さて、七尾百合子ってベタに「文豪」への憧れがあると思います。

「文豪」の作品にトライするチャレンジ精神も持ち合わせていると信じています。

15歳らしくライト文芸も読んでいる(作品名が出ないのはゲーム的な「お約束」の都合上)と思うしけれど、ぽつりぽつりと具体的な名前を出すからには「文豪」の作品にも食指を伸ばしているはずです。太宰は読めたかもしれないけど三島由紀夫はどうかな? 果たして倒せるかな? どうする15歳? という気持ちで書きました。

いわゆる「文豪」のなかでも、三島は文章自体が特にハイカロリーだし、テーマ的にも戦争、天皇、戦後社会あたりを取り扱っているので補助線がないと読みづらいのではないかと思います。来月で30歳(七尾ちゃんの2倍ですね)になる私も、先日ようやく『金閣寺』を倒せました。最初のトライが大学に入り立ての18歳。「京都に来たからには読まねば」と古本屋で買った一冊を、溝口が舞鶴から旅発つ前に諦めました(相当序盤という意味です)。

今回取り扱った三島の『夏子の冒険』も、暴走特急本編では(語り手である七尾ちゃんのキャラクターの都合上)扱えませんでしたが、戦後間もない「内地」から「北海道/蝦夷地」へ向けられたエキゾチックなまなざしというのが独特な読み心地を生んでいると思います。また、熊を撃つことに成功した井田が腑抜けになるのは、金閣に火を放つも生きようと決心した『金閣寺』のラストとコントラストになるのではないかと思われます。あるいは、生そのものを絶つ『奔馬』のラストは、その発展なのかもしれません。そういうことを考えつつ、「まーでも、七尾ちゃんが人前で語るには厳しい作家だな」とは言わざるをえないですね。難しい作家だと思います。

次回は、ライト文芸――というかライトノベルの名作『涼宮ハルヒの憂鬱』です。本当は、こういう作品でこそ七尾百合子×実在図書の裾野を広げていくべきだと思うんですよね。ゲーム的な「お約束」から制限されているので。いつまで経ってもブルーオーシャンなので、この『図書室の暴走特急(改訂版)』をもって、3年半の沈黙を破らせて頂きました。