箱庭療法記

人々がきらきらする様子に強い関心があります。

210806『あずまんが大王』を読みました(「あずまんがダービー ペンギン杯」の答え合わせ回)

お世話になっております。よしざきです。

このたびは、先輩のご厚意によって開催されました「あずまんがダービー ペンギン杯」に参加しておりました。「あずまんがダービー ペンギン杯」とは、『あずまんが大王』を初めて読むよしざきが好きなキャラクターのトップ3を予想するダービーです。元ネタはオモコロの記事。なお、同時に本企画の企画者によって「あずまんがダービー くさび杯」も開催されていました。

無事に『あずまんが大王』を読了しましたので、感想と結果をご報告致します。

なお、このエントリの公開の時点ではまだ「あずまんがダービー ペンギン杯」が開かれているはずなので、読者の方もどんどん下記のリンクからご参加ください。

0.目次

1.ふわっとした感想

2.結果発表

3.選外一言

4.まとめ

1.ふわっとした感想

萌え~~~。

一昔前に「壁になりたい」みたいな概念が流行ったと記憶していますが、私はあの学校の卒業アルバムを作る業者になりたい。そういう距離感の萌えです。(好きなエピソードのしゃきっとした感想を書くためには好きなキャラクターを明かすことを欠かすことができないのだが、企画の趣旨を鑑みると明かすこともできず、結果かなりふわっとしている)

ボブディランの「Forever Young」の

May God bless and keep you always
May your wishes all come true
May you always do for others
And let others do for you

May you build a ladder to the stars
And climb on every rung
May you stay forever young

そのものになっとる。幸せなまま生きて欲しい。

みなさん本当に一生懸命に生きている日々が、途切れることなく、一定のテンポで3年間続いて……。作中の時間の流れを遅らせることも速めることもせず、入学から卒業まで一定の速度で描かれると、彼女らと同じ時間軸で歩んでいるかのような、そういう描き方からしか得られない感慨がありました。ある意味で、非常にストイックな漫画でした。

「『あずまんが大王』を高校時代に3年間掛けて読んだ」とフォロワーが書いていましたが、読み終わってから彼のことがとても羨ましく感じられました。私は一晩で読み切ってしまったんですが、叶うならば、そういう読み方もしてみたかったものですね。

ところで、四コマ漫画をこうも真剣に読むのはほとんど初めてだったのですが、贅沢な時間の使い方をするものですね。0.5ヶ月につき11の四コマ漫画で、1月につき22の四コマ漫画(非四コマの回もありますが)。つまり、約90コマ/月。90コマ×12ヶ月×3年=約3,000コマのうち、直前のコマとほとんど変わらない画が写る、無言の「間」のためだけに饗されていたコマは何分の一くらいの単位で存在したように思います。その「間」の豊かさは、同時に、日常の何でもなさの豊かさを示唆していますね。

しかし、その日常もやがて終わる――

最も好きなエピソードの一つに4巻の3年生3月パート2が挙げられます。卒業式を迎えた生徒たちは、卒業後にも夏には一緒に旅行に行こうぜとゆかりちゃんを誘う――生徒たちはマジで一緒に旅行をするつもりだけれど、たぶん、というか確実にゆかりちゃん先生はそうではない(生徒たちの在校中に卒業生が描かれなかったことによって、ゆかりちゃんとの卒業後の交流が暗示されている)。

いまここで一回きりの(彼女らなりの)ドラマに富んだ高校生活を送る彼女たちと、彼女らさえも毎年入学する多くの生徒の一部でしかないゆかりちゃんとでは、同じ3年間を過ごした同じ面子でも重みが必然的に異なっているんだなあって。日常の重みって違うんだなあって。切なくなって潤んでいました。彼女らの日常が最後に一気に相対化される、引き締まったエンディングでした。

ってダラダラと書いていても仕方ないので結果発表に移ります!

2.結果発表

3位から順に発表致します。選外のキャラクターへの一言もあるよ。

3位 よみちゃん(水原暦

「ヘキ」ですね……。こういう、どこか抜けてる秀才系キャラを(好き……)って感じちゃうの…………。

2巻の2年生5月パート2のテーマパークに行くはずだったのに熱を出しちゃう回が特に良く、受験に時間が掛かったのとあわせて、「お勉強はできるけど生きるためのエッセンスがどこか足りない」って人物に強いシンパシーを覚えてしまう。私がお勉強はできたけどエッセンスが足りない人間なので。

ともちゃんとの凸凹コンビの安定感もGOOD。仲良くしているけれど面倒見が特別いいわけではないところに、長年連れ添った互いへの信頼感がありますよね。よみちゃんとともちゃんの好きな回は、4巻の3年生9月パート2の一緒に台風でびしょぬれになる回です。

あと、ビジュアルが普通にかわいいですよね、よみちゃん。好きなよみちゃんは、眼鏡で目が隠れてるよみちゃんです(下図)。

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あずまきよひこあずまんが大王』3巻86ページ

ただ、ダイエットネタはいま読むとやや面食らってしまう側面も(「食い意地」ネタには可愛らしさを感じる一方で、体重ネタはなかなか素直に楽しむことはできないですね)。

普通に好きなのだけれど、後述のように私はちよちゃんが『あずまんが大王』の中心的な人物であると思っているので、ちよちゃんポイントが低めのよみちゃんは3位です。

2位 ちよちゃん(美浜ちよ

あずまんが大王』の中心的な人物ですよね。お勉強もできてしゃきっとしていて、何より場にいるだけでその場をほんわりと朗らかな雰囲気にできる。それでいて、「毒舌」感が一切ないんですよね。これが一番ポイント高い。ちよちゃんみたいに「実年齢は低いけれど実年齢以上にしっかり者」なキャラクターって、なんとなく私の世代だとそういう属性を付与されがちなイメージがありましたが、そういうの全くなくて徳が高い。天使では……。

素直だし「毒舌」ではないけれど、きちんと怒るべき場面では怒れる。強か。えらい。ともちゃんはえらくない。

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あずまきよひこあずまんが大王』3巻44ページ

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あずまきよひこあずまんが大王』3巻51ページ

ちよちゃんの別荘回は1年~3年を通じてどれも好きだけれど、敢えてマイフェイバリットを挙げると、2年生の別荘回(2巻の2年生8月パート2)。ゆかり先生の運転を断固として拒否するために先手で大きな自動車を借りたり(父に借りてもらったり)、それでも運転席に乗り込もうとするゆかりちゃんを物理的に阻止したり。ただ震えているだけだった前年の反省を活かしたナイス強かエピソードでした。

ちよちゃんかわいいエピソードで好きなのは、忠吉さんの背中に乗っかっておさんぽ?する回(1巻の1年生9月パート2)ですね。幼さ(物理的な小ささ)がストレートに描かれており、めっちゃかわいい。いろんなキャラクターと交流を持っていますが、忠吉さんのお散歩に榊さんと連れ立つのが特に好き。

ところで、この「あずまんがダービー ペンギン杯」の『ペンギン』ってこのペンギンからですよね?

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あずまきよひこあずまんが大王』3巻52ページ

1位 榊さん(榊さん)

好きですね、榊さん。ごめん、たぶん前回の記事に基づいてガチで予想してた方は「秀才」ってワードから1位よみちゃんで予想してたかもなんですが、榊さんです。

ところで前回の記事には、

少年期から青年期には少年マガジンと少年サンデーを読んでました。世代じゃないけど『GS美神』(おキヌちゃん)、『ラブひな』(青山素子)にマジでした。

って書いてありましたが、こうして見てみるとほとんど答えでしたね。世代の人はピンと来てしまったのではないでしょうか。榊さんについては、なんとなくでCV浅川悠をイメージしながら読んでいましたが、読了してからWikipediaを見てみればアニメ版の榊さんのCVはドンピシャで浅川悠氏。『ラブひな』の青山素子も同じ。書かなかったけど『WHITE ALBUM2』だと風岡麻理も演じており、彼女もまたやはり好きなキャラクターの一人でした(この段落は全部オタク特有の早口)。

榊さんに関しては、猫関連のエピソード全般とちよちゃん関連のエピソード全般が好き(全部好きってコト? そうです……)。その中で一つに敢えて絞ると4巻の3年生11月スペシャイリオモテヤマネコがやってきちゃったの回の、疑る獣医さんに「雑種です」と食い気味に答えるシーン。ちよちゃんも「ざっしゅです」と続くのがまたよし。この信頼感! ちよちゃんポイント高い!

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あずまきよひこあずまんが大王』4巻109ページ

しかし、なんで好きなんでしょうね。自分でもよくわからないけれど、グッときてしまったんですよね。ベタなんですが寡黙さとカワイイもの好きとのギャップがかわいいし、全体的にデカいし。デカいと最高。あと、面倒見がいいところとか。面倒見がいいと好きになりがち。獣医さんを目指してしっかり獣医系の大学に進むところもしっかりしてて好き。好きなキャラクターの要素を分解しようとするほどに、ピントが外れていくんですよね。

単独で3巻の表紙になってる当たり、人気あったんでしょうか。私もホイホイと釣られました。

3.選外一言

大阪(春日歩:初登場時に「大阪=春日歩」の知識がなかったので(この漫画には大阪弁のキャラクターが2人も出てくる……ってコト?)と戸惑いました。

ともちゃん(滝野智:すごい自由人。ペンキで汚れた手を窓で拭う回はビビった。

神楽さん(神楽さん):「ボンクラーズ」を結成できるだけボンクラキャラクターがいながら、それぞれ個性が際立っているのは相当なバランスだと思います。

ゆかりちゃん(谷崎ゆかり):こういう人物って「締めるときは締める」的な描かれ方をすると思うんですが、締めないままだった。すごい。

にゃも(黒沢みなも):にゃもとゆかりちゃんだとにゃも派です。きちんと運転できてえらい。数学ができないのはえらくない。

木村先生(木村先生):21世紀を生きていけない人物。コイツの初登場マジでビビったし、何度も出てきて都度ビビった。

4.まとめ

萌えでした! こうして「どのキャラクターが好きか」って真剣に考えながら読む機会ってよく考えたらほとんどないですし、貴重な機会でした。

企画してくださった先輩、企画に参加してくださった皆さん、ありがとうございました!